『人』は時に歩みを止める事がある


辿り着くべきと定めた場所を見失った時に『人』はその歩みを止め､その場にしゃがみこみ膝を抱えうずくまってしまう



何も見えず…

何も聞こえず…

ただその場にそうしているだけ…



そして自分の存在が意味の無い物の様に思えてくる


自分の居場所を失い､更に自分の存在を自らの手で消してゆく


そして『無』になろうとする




本当は誰かに助けて欲しい

誰かに手を引いてもらって､新たなる目指すべき場所へ自分を誘って欲しい


が､それが出来ない



なぜ？


今の自分を誰にも見られたくないから…


そんな自分を誰も求めていないから…


そして助けを求める為､相手に伸ばす筈の手で自らの膝を強く抱え離そうとしないから



当然の様に誰にも気付かれない




耐え難い孤独感に襲われ､恐る恐る顔を上げる



黒一色だった筈の世界に小さくまたたく弱々しい『光』を見付ける


だが動く事が出来ない



その『光』が『希望』なのか､また消えてしまう『まやかし』なのかが解らないから



執着､妄執､記憶

そう言った物に心を捕らわれ､その『光』が何であるのか判別する事すら出来ない



しかしやがてその『光』は甘美な芳香をを放ち､魅力的な色を放ち始める



『光』その物は何も変わってはいないのだが､限界を越えた精神状態が､そう思わせる




そしてやがて『人』は立ち上がる

今の苦しみから逃れるために


そして『人』はその『光』を見つめる


それが希望に繋がるものと信じて


そしていつか､もう二度と踏み出す事の出来ないと思っていた『一歩』を踏み出す事になる



また立ち止まる為の『一歩』なのかもしれない…


それでもここにこのままこうしているよりはﾏｼだ



辛さ

苦しさ

痛みを伴う物と覚悟を決めてその『一歩』を踏み出した時､『人』は以前の苦しみを糧として乗り越え､少しだけ強くなるのだと思う



目標はおぼろ気だ…


ｺﾞｰﾙﾃｰﾌﾟも霧に霞んでﾊｯｷﾘ見えていない…



でももう少しでその『一歩』が踏み出せそうな気がする



迷うな！


『希望』に続く路ではなかったとしても､またそれを糧にするんだ！


それが出来た時､俺はまた一つ強くなれるはずだから



そう信じて俺はまた歩き始める



その『光』が『希望』に続く道標だと信じて…