幼稚園の謝恩会が終わった後、俺は謝恩会委員の方や他の出演者の方達と一緒に会場となった体育館の片付けと清掃をしていました

先生方を体育館から送り出すときに大量の紙吹雪がばら蒔かれ、まずはそれを片付ける事になりました〓


親達が各々ゴミ袋を持ち紙吹雪を集めていると、そこに残った子供達も手伝い始め、手で紙吹雪を集めてゴミ袋を持っている親達の所へ持ってきてくれる様になりました



俺の所にも何人かの子供達が紙吹雪を持ってきてくれていたんですが、そんな中で一人の女の子が俺に近付いてきました


そして

「はいっ」

と言っててを差し出すので、俺も

「は～い」

と言って両手を差し出しました。

するとその子はニコニコしながら、俺の掌に一枚の紙を乗せました


それは桜の花びらを型どった一枚のピンク色の画用紙




『ゴミ………じゃないよな』




そう思い俺はその子に

「ありがとね」

と言ってその桜の花びらの形をした画用紙を軽く握り締めました。


その様子を見ると女の子は満足そうに、また紙吹雪だらけの体育館の中央に走って行きました




『これは…捨てられないよなぁ…』



そう思い俺はその紙の花びらをポケットにしまい、そのまま帰宅


着替えをしている時にポケットからそれを取り出しマジマジと見詰め


『やっぱり捨てらんないよな、これは』



と思いました





その桜の花びらを型どった小さなピンク色の画用紙は、今でも俺の財布の中に入っています