ゆで卵の日記で子どもの頃の記憶がよみがえってきました。
飼っていた二羽の鶏の雌が、毎朝６時ころ決まってコケコッコーと鳴いて卵を産んだことを知らせてくれていました。母はそれを取りに鶏小屋に入り、私のお弁当の卵焼きにしてくれていました。
でも、それがいつからかなくなったので母に聞くと、鶏が卵を産まなくなったと言うのです。そんなはずはないよ、だって毎朝鳴いてるよと言っても、だって無いんだものと母は返します。
産んだ卵が無くなるのは、イタチか蛇が食べるので
私は次の朝、確かめるため早起きして鶏が鳴いた直後に鶏小屋に行きました。
卵は湯気を立てながら有りました。
私は、まだ熱くて柔らかい卵のお尻に釘で穴を開け中の卵をチュルチュル飲んで、空になった卵に囲炉裏の灰とお父さんのタバコの吸いがらの残りを詰めて、穴にご飯つぶで紙を貼って、鶏が卵を産んだ鶏小屋の中に置き、陰から様子を見ていました。
すると、大きな青大将がゾロリゾロリと近づいて、小屋の隙間から中に入り、裂けるかと思うような大きな口を開け、卵を飲み込んでしまいました。
蛇の胴体が卵の形に膨らんで、ゆっくり下へ移動したかと思ったら、ペシャンと卵がつぶれました。蛇の胃液には硬い殻を溶かすものがあるようです。
それから蛇がどうなったと思いますか？
…
のたうち回り、自分の体をもつれた糸玉のようにほどけないほど巻いていたかと思うと、ぐったりしながら鶏小屋から出ていきました。鶏は眼を白黒させながらなりゆきを見ていました。
次の日から、お弁当にはしっかり卵焼が入っていました。母は、また鶏が卵を産むように元気になったよと私に教えてくれました。
小学校３年生の時のこと。
通信簿には先生は、自分は表に出ないで陰で糸を引いて悪いことをします、と性格欄に書いてありました。
今では陰湿で執念深い性格は治っていますと、私は自分で思っていますけど。