４月８日はコロナの感染者が１日で最高の500人を超え、その勢いはとどまる気配を見せていない。亡くなられた方も増えている。

世の中の不安と恐怖の広がりとともに、気になるのは感染した人、感染させた人への激しい憎悪と攻撃の広がりである。

誰しも最愛の家族や恋人をこのコロナで失いたくはない。もう少し慎重な注意や行動をとっていてくれたらと、コロナで大切な人を失った人たちは、さぞ悔しく腹立たしい思いをしているだろう。また、コロナの感染のきっかけとなった人に、このような不安を広げたことへの怒りを持つ人もたくさんいるだろう。

京都産業大学に抗議の電話が殺到し、中には感染した学生の名前と連絡先を教えろ、さもないと大学に火を放つという電話もあったとニュースで報道されていた。
さすがにそれは行き過ぎだと思うから、報道機関はニュースに取り上げたのだろう。

感染者が出たと報じるネットのニュースのコメントも、感染者への憎悪が日を追って激しさを増している。


でも、コロナの恐ろしさとともに、日本の社会心理が不安と恐怖に満ちてきて、感染させた人への激しい憎悪と犯人探し、個人攻撃とリンチの風潮が高まってきていることも、私は怖いと思う。

感染させた人に落ち度はあり、そのために大切な人の命を奪われた側からすると、その怒りは計り知れないだろう。こんなに多くの人々の不安を掻き立てた人への非難も当然だろう。

でも、それでも、考えてほしい。
今からほぼ100年前の関東大震災で起きた悲劇を。
あの時も人々は、普段の生活と家族や恋人を失い希望を奪われ不安と恐怖が絶頂に達していた。

朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ・・
朝鮮人が差別していた日本人に仕返しをする・・

デマが拡散し、町内ごとに武装した自警団ができ日本語がうまく話せない奴は朝鮮人だと、朝鮮人探しが広がり、見つけては集団でリンチを加え、朝鮮人とその家族を虐殺していった。

その数、数百人とも6000人とも。

京産大への抗議の電話の中には、100年前の関東大震災のときの、日本社会に不安と恐怖が満ちていた世相に共通するものが生まれてきていると、私は思う。

コロナを感染させた人の非を責めるのは、そんなことはしてはならない、という自覚と教訓をたくさんの人が持つことの範囲でなければ、亡くなった人も浮かばれまい。

コロナは怖いが、感染させた人へのリンチと社会的虐待、感染させられた人への社会的差別も怖いと、私は思う。

世の中は殺気立ってきている。