ビビりながらも意を決し…。
時は、暴対法が厳しくなる以前。
札幌はススキノのとあるラウンジでの話。
私は月5~6回位の常連客でした。
その店には、久美ちゃんという人気の娘がいたのですが、毎日のようにアフター狙いの客が5人位は来ていました。(私は違いますよ(^^;)
ある日、見るからにアチラ系の強面の客が来ていて、閉店一時間前位になっていたとき。
~久美、今日こそアフターに付き合えよ!! 今日まで幾ら注ぎ込んだと思ってんだ!! 真っ直ぐホテルに行くぞ!!~
久美ちゃんは、同意も否定もせず、ただただ困った顔をしていた。
そして、私の方を見て
~山ちゃん、助けて!!~ と言っているかのような顔をした。
ちょちょチョット、俺にどうしろと…。
久美ちゃんは何度も俺の方を見て
~山ちゃん、助けて!!~ という顔を…。
参ったなぁ~(〃ω〃)
そして、今度はママまでも…。
勘弁してよ~(〃ω〃)
仕舞いには、俺に付いていた真純ちゃんが俺をつついてきた。
~山ちゃん、男でしょ!!~
それとこれとは訳が違うじゃん!!
なんで俺!?
他にも何人かいるのに…。
店の中は、俺が何とかしなきゃいけない雰囲気になってしまっていた。
トホホッ!!(T-T)
俺は、ビビりながらも意を決して久美ちゃんの席に向かった。
~お兄さん、すいません!! 今日は俺が先に久美ちゃんと約束していて…勘弁して貰えませんか!?~
~あーっ、兄さん何処の者だ!?~
~いやっ、俺はただのサラリーマンです。久美ちゃんは俺の妹みたいなもので、今日は久美ちゃんのバンド仲間との集まりに行く約束をしていたんです。~
~兄さん、俺が何処の者か分かってんのか!?~
~いえ、お兄さんが何会の方なのかは分かりませんが、俺の知り合いの○○達也さんのご同業の方なのではないのかな…とは~
~あーっ、兄さん名前は!?~
~あっ、俺は山本と言います。~
~○○とはどんな関係なんだ!?~
~達也さんとは、弟が兄弟同然のお付き合いをさせて戴いていて、同郷というだけです。ただ、地元で何回かは一緒に飲んだりはしましたが…。~
~ガセ言ったらただじゃ済まさんぞ!! チョット待ってれや!!~
と言って、しばし席を外した。
電話確認してたみたいで
~兄さん、今日は仕方ないから兄さんに譲ってやるわ!!~
~すいません、有り難うございます!! でも、今日だけでなく、今後も久美ちゃんのことは勘弁して下さい。~
~はーっ、何だお前!!~
と言って俺の襟首を掴み、拳を上げたが、殴っては来なかった。
彼が精算を済ませ店を出て行ったあと、自然に拍手が沸き起こった。
俺はそれどころじゃないっちゅうのに…。
まあ、久美ちゃんの安心した涙を見たからいいっか!?
≪後日談≫
彼がその後、店を訪れることはなくなったそうです。
結局は、俺が知り合いの力を借りてしまった情けない武勇伝とは言えない話でした(^^;