人生の最期って・・大往生に逝きたいものよ
40代半ば  神奈川県
2016/01/04 1:01
人生の最期って・・大往生に逝きたいものよ
「あかぎさん、大変なの・・早く来て」



私は急な連絡をうけ、病院に急いだ



師走!!



昼とはいえ、年末の買い物客で町は混雑している


道路は渋滞して思うように進まない


休日ドライバーも多く・・


道わきには自転車が買い物袋を満載してフラフラしている


私は急ぎたい気持ちを抑えながら運転に集中した



焦ったら危ない・・


気持ちが動揺して注意力が散漫しそうだ



「あの人が・・マジで」





病院に着くと、受付を通りぬけナースステーションに急いだ



「〇〇さん、部屋はどこですか?」


「〇〇さんですね、案内します」



若いナースが少し焦り顔で飛び出してきて案内してくれた


部屋に着くと、もう家族が集まっている




ぴーーーーーー



甲高くモニターの警告音がなっている


ベット脇に行くと、目を閉じた老人が眠っている



「〇〇さん・・」



声をかけてが反応はない


私は奥さんの方をみた


奥さんはうなずくだけ・・



「もう30分くらい前から息してないの・・・」



奥さんは悲しそうに話す



「・・・・」


私はモニターをみる



ぴーーーーーーー



警告音がなり続け・・


まるでドラマのシーンのように5本くらいの線が一直線になっている



『測定不能』



そんな文字がみえる



私はナースをみた



「蘇生術は・・?」


「ご本人様の希望で・・」



うつむき加減に話す



私はまた〇〇さんの顔を見る


頬の肌色はよく、寝ているように健やかだ


頬に触れてみると温かい



「ホントに・・亡くなってるの?」


私は周囲をみた




奥さんが感極まって・・



「あなた、起きて!!あかぎさん来てるよ!!」



耳元で大声で話す



私は顔をよく見るが反応はない


しかし


モニターの一部に反応があった



「あっ!!」



私は微かな期待で『生きてる』って思ったが・・


しばらくすると消える


奥さんがどんどん話しかける


どうやら耳は聞こえるのか、そのたびに反応する



まだ生きてる!!





しかしそれも・・


だんだんと反応しなくなった





担当ナースがやってきた


最期の状態を説明してくれる



どうやらほんの1時間位前までは、話もして元気だったようだ



「では~お昼ごはんを食べてくるので、そのあとヒゲを剃りましょう」



ナースはそう言うと、髭剃りの用意までしてお昼にでかけた


しかし帰ったら、心肺停止状態だったようだ


ナースステーションに待機しているスタッフもいたが、本人の希望もあり蘇生術はしなかったようだ



家族が呼ばれ、私も奥さんから呼ばれた




長いこと〇〇さんは肺ガンで苦しんでいた


全身に転移していて、余命はほとんどないとされていた



数日前、急な呼吸困難で緊急入院


そのとき、もうダメだと奥さんは思ったらしい


私もそのときも呼ばれた



しかし私が行くと嬉しそうに話しかけてくれた


酸素マスクもしていて苦しそうに話すので、何を言ってるか分からなかったが目で訴えていた



「来てくれて、ありがとう!!」



私にはそう聞こえた


私は〇〇さんの手をとって握手した



温かい・・!!



〇〇さんも強く握り返してくる


スポーツを長いことやっていたので肉体的で握力はある


私はこれなら大丈夫だと思った



翌日、奥さんから電話で持ちなおしたと連絡をもらえた



私はその〇〇さんに大変世話になったいたので、嬉しかった・・


もっと長生きしてもらいたかった




その翌日には、多くの子供たちが見舞いに来て賑やかだったらしい


年始に会いましょう~って交わしたようだ



その次の日には転院の打ち合わせもして、食事制限も解除された


調子が良くなったのであろう





それが今は心肺停止になっている


私は彼の手を握ってみたが、手は冷たくなっていた


あの強かった握力はない・・




ナースが頭を起こし、口を閉じる



「だんだん固まってくるから・・」



私は無意識に手伝う


口が開きそうになるのを手でおさせた


ナースは頭をおさえ、酸素マスクなど付いている器具を外す



モニターはドクターの確認がないと外せないみたいで・・


警告は出っぱなしだ



「ごめんなさい、年末でドクター忙しくて・・」


「痕になってしまうわ・・」


テーブなども剥がしていく



鼻にかかった色気のある声だ




私はナースをみる


20半ばくらいであろうか・・


お洒落なメガネをかけた綺麗な女性だ


ボデイラインがいやらしい




私の目線に・・


前かがみで開いた胸元が飛び込んでくる



下着の奥まで見えそうな感じだ


私は不謹慎な自分を戒め、口をおさえた


彼女は気にすることなく作業を続ける


私は不謹慎と思いつつも、また見上げる



あっ!!



白い下着の奥に何か突起物が見えた感じがした


私は瞬間に目を背け、〇〇さんに懺悔した



こんなときにロクデモナイことを・・




彼女はその瞬間、ニコってしながら話してくれた



「〇〇さんは優しい方で、いろいろ話してくれたわぁ」


「今日も午前中に笑いながら・・それで午後の髭剃りを楽しみにしていたようなの・・」




私は分かった



彼女は明るく少しエロチックな女性だ


胸元も開けていて、患者の目線も意識しているであろう



〇〇さんは長いこと闘病で疲れていた


家族もバラバラで心配事が多かった



しかし、ここ数日で家族が集まり・・


子供たちにも会え、みんなの気持ちが一つになった



そして、今まで苦しめられた不信感だらけの病院生活からも開放させた


ここに緊急入院して優しいナースに会え・・



『しあわせ』を感じたのではないか~



今まで生きることに頑張っていたが、何となく幸せを感じた瞬間に緊張がとけたのではないか~



最期は急激な心拍数の低下がおこり、不整脈が併発したとナースは言っていた



私はもう一度〇〇さんの寝顔をみる


今にも起きてきそうな優しい感じで寝ている



「よかったね、苦しまなくて・・安心したんだね」



私はそう思った



ドクターが慌ててやってきた



20代の若い・・


独り者のペイペイドクターだ


どこの病院でも年末はそうだ



瞳孔や脈などを調べ、神妙に決まり文句を言う




「ご臨終です・・」






今までごご迷惑ばかりかけて、すみませんでした


それでも温かく見守り面倒みてくれて感謝してます


ありがとうございました


安らかにお眠りください



(元)お義父さん・・
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コメント

50代前半  京都府

2016/01/04 1:15

1. かなり息苦しいおもいをなさったでしょうね…

最期は安らかなお顔だった様で、それだけでもご家族は救われますね…

御冥福をお祈り致します…

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