信じたい性(さが)
「人間は自分が信じたいことを喜んで信じるものだ。」
これはローマ帝国時代の格言(カエサル ガリア戦記)である。
逆説的にいうならば、信じたくない情報については、不愉快で
受け入れもしないし、ましてや信じもしないということになる
だろう。
人間の性癖を利用して、カエサルは敵方ガリア人にスパイを放ち
そのものは自分はカエサル軍からの脱走者だと偽り、カエサル軍は
今如何にだめかをガリア人達に吹聴する。たちまちそれに乗った
ガリア人は、カエサル軍に攻めかかり、たちまち敗れて総退却した。
恋愛にもよくこれに類した話は枚挙のいとまがない。
自分の好きになった相手が、どうしたわけか最近つれなくなった、
ラインの返信も遅くなったり、既読スル―のままだったりすると
的確な判断が出来なくなる。相手がきっと仕事の多忙で、あまり
構ってくれないのだろうと自分が信じたい方向に思い込んでしまう。
冷徹に事実や状況を分析して、嫌な或いは悲しい結果を予想したく
ない人間の性。
しかし最後には、その事実の積み重ねやら時間的経過から悲しい思い
(愛の終焉、破局)を泣く泣く自分自身に納得させなければならない。