相手の態度は、自分の「心の鏡」
古代ローマのオーガスタ皇帝は、皇后との夫婦仲が極めて睦まじく
家庭においては全てが皇后のいうがままで、少しも逆らうことが
なかったそうだ。つまり、おとなしくて、優しくて、善良な夫で
あったわけである。
もとより、皇帝は恐妻家ではなく、皇后はかかあ天下式に夫を
支配したのではない。にも拘わらず夫を「自由自在に操る」という
ふうであった。かねがね、このことを不思議に思い、羨ましく思って
いた宮女たちが、ある日皇后に「どういう秘術でもって、お上を
かくもご自由にあそばすのですか?」と聞いた。
皇后、答えて、「自分が従順であることによって」----宮女たちは
意外な答えにはじめはびっくりし、やがて、なるほどと深く納得が
できたそうである。
皇后には夫を支配する意図など、かけらほどもなかったのだ。
反対に、従順であることにのみ努めていた。
その徳へのリアクションとして、夫のほうも、従順になった、と
いうことであったのだ。つまり、夫の姿は、皇后のそれの”写し”で
あったわけである。
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生きるヒント「一日一話」より抜粋