何事も中庸が肝要
本文 生活習慣病予防として、運動の効能が叫ばれている。
そのため、トレーニングジムに通い、ジョギングを日課に
している方も多い。
「毎日の運動が、健康長寿につながる」とは必ずしも言えない
現実がある。
デンマークで約1万八千人を最長三十五年間にわたり追跡した
調査研究によると、適度に運動する人は、全く運動しない人に
比べて男性で6.2年、女性で5.6年も寿命が長いと分かって
いる。
他方で「長時間」「ハイペースで」「週4回以上」ジョギング
している人は、「ほどほどの時間」「あまり速くないペースで」
「週数回程度」ジョギングをする人より、死亡率が高いことも
明らかになっている。
このように運動負荷が高ければ高いほど、健康寿命を延ばすとは
言えない。
運動時には、負荷がかかる全ての臓器、自律神経中枢、筋肉などで
酸素を消費する。その際発生する活性酸素は、ある程度体内で
分解されるが、激しい運動を続けた場合、大量に発生した活性酸素が
細胞を酸化させ、さび付かせてしまう。さび付いた状態が、一過性で
あれば、まだ「疲労」の段階であり、休息によって回復ができる。
しかし細胞にさびがこびりつき元に戻らない状態に至れば、それは
もう「老化」であり、寿命を縮めることになる。
運動は、筋肉の維持や肥満防止のために非常に重要ではあるが、
健康寿命の観点から考えると、「運動中に会話ができる程度」の
強度で、週に数回の頻度で、当日の体調と相談しながら行うことが
最適だと言えるであろう。
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静岡新聞3月20日 夕刊
東京疲労・睡眠クリニック院長 梶本修身 より抜粋
会話が出来る程度の強度とは、心拍数で100~110程度/分。
週数回とは週2、3回。