突然の電話
60代前半  静岡県
2015/05/17 15:25
突然の電話
ミレニアムの頃、まだ携帯電話も個人で持つ人は少なかった。

私は、ある女性と掲示板で知り合った。

いわゆるメル友である。

その当時、サイト内でなくお互いのメルアド宛てにメール交換

をしたような記憶がある。

私はその当時40代、会社の仕事で現地に長期で逗留すること

もあった。その女性は、同じく40代のバツイチ女性。何か二

人の波長があったか、遠距離ではあるが毎日のようにメールを

交換した。

逗留先は東海村に近い場所であったが、何せメールを送るには

公衆電話のモデム差込口にノートPCのモデムケーブルを接続し

自分のメールをダウンロードしたり、あらかじめ作成したメー

ルを送信したりするのに、手間がかかった。無線局の設置も、

wifiのサービスもまだ始まっていない時代。私のようなことを

する会社員は、駅の構内でもよく見かけた。

私は、出張先でも彼女に毎日せっせとメールを書いた。

彼女もそれに対し、日をおかず同じテーマ或いは別の

テーマで自分の考え方、気持ちなどを書いてきた。

そんな時、仕事が終わって旅館に帰って部屋でくつろ

いでいると、旅館の女将さんから内線電話がかかってきた。

「女性から電話です。」と。

そのまま待っていると、聞こえてきたのは、聞き覚えのない

女性の声。「○○さんですか?私、メル友のXXです。」と。

この時は、本当にびっくりした。まさかという驚がく。

彼女の住まいは北九州市。

この辺りに旅館は、10数軒あるが、きっと手当り次第、いわ

ゆるローラ作戦で私が宿泊している旅館をNTTの106番あ

たりで聞いて、探し出したと思う。

彼女にそのことを電話で聞いたらその通りだという。

私は、彼女の執念とも情熱とも思われるひたむきさに脱帽、感

謝。とても愛おしく感じた。電話をかけてきた理由は、メール

の向うにいる私の実在する証を声で確かめたかったらしい。

彼女と付き合った期間は、2年位だったかな。

しかしあることで、いさかいとなり修復ができないまま

終焉を迎えた。

彼女を芸能人で言うならば、女優 星百合子似かな。

大人のほろ苦い経験であった。

END
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