散髪屋の綺麗な女将
60代前半  静岡県
2017/01/26 17:02
散髪屋の綺麗な女将
ほとんど毎日のように水泳教室、自己練習などで通っていて

なかなか散髪に行けない。自転車で通う途中に散髪屋がないか

探していたら、偶然にもプール場から500mくらい離れた

大きなスーパーの道路を挟んだ対面に理容室があった。

プールに通う友達何人かに聞いても、その理容室を利用したことが

ないという。

やむなく入ってみることにした。

何と「いらっしゃいませ!」の言い回しやら、若い女将の独特の

雰囲気から、外国人の女性が経営していることに気が付く。

アジア系、韓国でもない、インドネシアかフィリッピン系の

女性のよう。女将さんは、身長は150~160cmくらい。

ポリネシア系の風采ではないが、目鼻立ちが整った容貌で小奇麗。

席に座って取り敢えずカットのみをお願いした。

何処の出身かと尋ねると、やはりフィリッピン出身。

助手の若い、すらりとした女性は、自分の娘だという。

目鼻立ちが、ぱっちりしていて、お母さん同様南国特有の

綺麗さを持っている。娘さんも今理容師の資格取得に

取組中だそうである。

女将さんより身長はある。私より高い

かも知れない。女将さんの日本に来た最初の目的は、

スナックで働き、お金を自国の家族に送金することだった。

やがて日本男性との結婚、離婚、自立。

16才でマニラから鹿児島から入国し、早くも30年。

今は静岡県三島近辺で暮らしている。私がフィリッピンに

仕事で立ち寄ったのも、奇しくも30年前。

その当時、とてもフィリッピンの治安が悪くて、

夜間外出も出来ないし、昼間でさえホテル近辺しか歩けなかった。

マルコス大統領の時代である。彼女もそのことはよく知っており

「今は、違うよ。マニラも平和な近代都市だよ。」と胸を

張って自慢する。

それにしてもよく日本の国家試験(厚労省)を受けて合格したと

いう驚き、彼女の頑張りに目を見張った。日本語はひらがな、カタカナ

漢字の三種類があり、語順も英語とは全く違うし、「日本語を覚えるのが

大変だったでしょう。」と言うと、とても大変であったが、インドネシア

人が介護士として日本から要請されて、彼女らが日本へ来て、介護の仕事を

しながら、介護士の国家試験の勉強をしている姿をテレビ等で見て

女将も発奮したという。この店を持ってちょうど5年目だという。

根性のある、決して負けない逞しい生命力を彼女に感じた。

カットが終わって、次のお客様(お婆さん)に声がかかる。

その理容室を出て、寒い外気が少し頬に当たっても紅潮した

頬が心地よかった。また応援したくなる母娘であった。
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