ぼくの物作りは
概ね物真似から始まりました。

既存の構造物や機構から
多くを学んで

それがある意味や
それを作った人の考えに
想いを馳せる。

そしてそれらを頭の中で
立体的に思い描くことができれば
少しずつ動かせるようになります。

動きはじめると
ぶつかったり捻れたり
矛盾があると停止する。

壁にぶつかった時
幾通りものアイデアが産まれます。

行き詰まれば
かんたんな試作で凌ぎます。

それでも
それ以上動かなくなれば
それが自分の限界です。

優秀な人って
その限界値が高いのだと思います。

ぼくはそんなことを
50年近くやってきて
いろんな物を作ってきました。

そしてつらつら想い返すに

僕の限界値って
中の下くらいかなって
自己評価しています。

具体的には
僕の作った機械で
ユーザーが製品を作って売る。

そんな立ち位置です。

そこには当然
製品の単価から逆算された予算組みがあって

いかに安価で便利なものにできるか
その上で生産性と品質をあげれるかという
悩ましい課題に直面します。

とは言っても
僕にはいくら予算があっても
そもそもが文化系出身で
高度で精密な機械を作る技術はありません。

作業場の床に蝋石で絵を描いてるうちに
製図機で図面をかくようになり
パソコンで描くようになった程度です。

極めて自己流なので
万人に理解してもらえるものではありません。

よくこんなんで営業もしないで
50年近くやってこれたものだなと
自分でも感心します。

ぼくのつくる機械は
業界が狭くて特殊なのですが
いつのまにか東は栃木から西は宮崎まで
台湾やベトナムまで転々と散らばって
今も動いています。

その日暮らしの受注生産で
アイデアだおれの手間暇かかるので
なかなか儲かりませんが

それでもなにかしら
世の中の役には立ててこれてるのかなって
それが唯一の慰めです。

正直なところ
空間思考がどんどん衰えてきて
よけいな時間ばかりふえてきましたが。、、

それでも物作りだから
要望があるうちは
もうちょっと頑張れると思います。