日記って･･･

その時々
その折々の
物思う姿見なんですね｡･･･

僕は週末になると､
大学の帰りに途中下車して､
明美のｱﾊﾟｰﾄに転がり込んでいました｡

古川橋莊という共同炊事場の共同便所､
お風呂のない６畳一間の部屋でした｡

明美は僕のために
いつもﾄﾞｱの上にｶｷﾞを忍ばせておいてくれていました｡

地味でふるびたﾄﾞｱをあけると､
可愛いい水玉模様のｶｰﾃﾝと
きれいに片づいた女の子らしい調度品で飾られていました｡

でも･･･
ひっそりと､さびしげな空間｡

といってもこんなのって

どこにでもある風景にちがいなかった｡

ただ･･･

明美の日記の存在が･･･

気弱な学生の見る目を奪い続けていたのです｡

今夜も､とくに土曜の夜は帰ってくるのが遅い｡

僕は一週間ぶりに
とりわけゆっくり
かみしめるように
明美の日記を読み始めました｡

｡｡｡｡

恥ずかしながらわかくておぼこい僕の手はふるえているようでした｡

｡｡｡｡

明美が･･･
あの日とかいています｡

あの日をさかいに､
日記はあれはじめました｡

吐き出しぶつけるような文字｡
大きく小さくかきなぐったﾊﾞﾂの印･･･

そしてきっと涙の跡｡｡｡

ﾍﾟｰｼﾞの最後には必ず

ごめんなさい｡

とかかれていました｡




･･･つづく