先日､

従業員の彼女が大きなお腹を抱えてやってきた｡

５月に出産予定だというのに｡｡｡

人ごとのように言い放った｡

３７歳にして初産らしい｡

雨の中､

我が社まで２０分かけてとぼとぼ歩いてやってきたのだ｡

その時僕は事務所で朝一の段取りをしていた｡

ﾄﾝﾄﾝ･･･とんとん（窓ごしに小洒落た女性が覗き込んでいた）

｢すいません｡ＯＯさんこられてませんか？（ＯＯさんとは彼女が同棲していた男の名字だ）｣

女性はお腹の子の父親をそんな風に呼んでいた｡

｢ＯＯさん･･･一昨日の夜から帰ってこないんですけど･･･ごぞんじありませんか？｣

心細そうにしている｡

実は一昨日彼は書き置きかをしたためたまま会社を休でいたのだ｡

その覚え書きにはこう書いてあった｡

《急に用事ができましたので･･･休ませてください｡
日曜日もでてかならず埋め合わせをします｡ごめんなさい｡ＯＯ》

僕にしてみれば､
この忙しいときに迷惑このうえなかった｡

とはいってもそれはそれでまた人を増やして

さらに残業をすればすむことだ｡

それにしても妙な話だ｡

蒸発寸前まで明るく仕事に励み･･･

物作りを楽しみ始めていたのに･･･

その姿に嘘はなかった｡

僕はいぶかしげに女性を見つめた｡

｢君のお腹の子の父親なんでしょ？
名前まで考えて･･･
今月籍をいれてかれの田舎に帰るんやなかったの？？？｣




････つづく