昭和エレジー
トントン
トントントン
門扉をくぐり抜けて
玄関先まで
だれに見咎められるでもなく入ってきて
トントン
トントントン
「だぁ~れえ~?」
(こんな朝っぱらから)
奥さんは亭主や子供達を送り出して
一息ついたところだった
か細い声がする
「すいません~ん」
トントントン
古くて立て付けの悪い引き戸を開けると
ガラガラガガラ
そこに大柄なむぎわら帽子の男が
申し訳なさそうに立っていた。
奥さんが
今ほどいたばかりの割烹着を
胸元にたたみ込みながら
男を見上げた。
男はもじもじしながら
恥ずかしそうに
奥さんより低い目線で
かがみ込むようにいった。
「あの-とても不躾なんですけど
急に辛抱
できなくて・・・
お手洗い・・・使わせてもらえないでしょうか?」
奥さんは
「な-んだそんなことかあ-
どうぞどうぞ
この奥ですよ。」
心なしか小走りに廊下を渡る男を見届け
奥さんは台所で洗い物を始めた。
ボットンぶははは
ぼっちゃんぶりり←用を済ませた男
男は廊下の踊り場から台所を覗いて
「ありがとう
たすかりました。
あの-
よかったらこれ-
ほんとにありがとうございました。」
そう言って
くしゃくしゃになった100円札を延ばしはじめた。
奥さんは流しに立ったまま背中越しに
「いいんですよお-
困ったときは
お互い様ですからぁ-」
男は・・・
「はい
ほんとうにありがとうございました。」
そういって延ばし始めた100円札を握りしめてポケットに押し込んだ。
そして
はずかしそうに
でも嬉しそうに
そのまま通りすがっていきました。
=昭和の美しき哀愁=
コメント
2014/05/27 20:24
8. >>7 パク !さん
続編は
またいつかぁぁ?
笑\(^_^)/
返コメ
2014/05/26 19:09
7. ?
続々続編わ?
返コメ
2014/05/26 18:42
6. >>5 ミヤビ・ジョヴォヴィッチさん
ホテルに行っても
住み着くなって
返コメ
2014/05/26 17:48
5. >>4 彦さん
(^^)ぅ~ ホテルは一緒なのに。。
返コメ
2014/05/26 17:30
4. >>3 ミヤビ・ジョヴォヴィッチさん
工場は別やで---
返コメ
2014/05/26 11:54
3. (^^)ぅ~ 家が仕事場っていいね~
返コメ
2014/05/26 7:14
2. >>1 やすさん
いつの間にか
廃れた
下町の風景ですね。
僕には遠くかすかに残る
/DJB記憶ですぅー、(´・ω・`)
返コメ
2014/05/26 0:53
1. お隣さんが成立した時代ですかね。大阪だと街でもっと進んでたようにも感じますが
返コメ