葬儀の儀
50代半ば  大阪府
2014/06/19 10:13
葬儀の儀
出張最終日の朝

ホテルのWi-Fiに乗って

ラインが鳴りました。

〈お義父さんの心拍が停止しまし た。〉

半分植物状態になって

これから入院が長引くのを

覚悟していた矢先の事でした。

出張直前には心電図が掻き乱れて
あわや
葬儀にも参列もままならないかも
という

午前3時までの一進一退でした。

幸いにしてその折は
症状が安定して酸素フォワード95
血圧90まで回復しました。

ああーこれなら
出張できるって安心したのですが、

まさにその最終日でした。

〈お父さんの病状報告〉

というジャンルで立ち上げて
みんなでやりとりしていたラインが
にわかに慌ただしくなりました。

う~あまりにもあっけないです

『これから少なくとも半年以上は
こんな状態が続くでしょう』

という担当医の言葉が
空しく頭をよぎりました。

その反面
激しく苦し気な肺呼吸で
意識のない体を揺らしていた姿が

ふっと
安らかになったのかーって

心のどこかで
緊張が溶けていくようでも
ありました。

人の命の境界線を
残された者共として
一つ踏み越えたような

不思議な感覚です。

その日は
ベッドで寝たままで
1日病院で安置されました。

辛うじて
お通夜
本葬と間に合いました。


息を引き取るのもあっけなく
そして荼毘に伏すのも
終わってみればあっけなく

生前の義父の記憶が
全て後追いする形で
悲喜こもごも沸き起こって
くるものなんですね。


ひょっとして
葬儀の儀というのは
そのような
逝く人と残る人の

思いの門なのかもしれません。

(曹洞宗)
南無釈迦牟尼仏
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