父の背中に青い林檎が見えました。
50代半ば  大阪府
2015/02/17 0:01
父の背中に青い林檎が見えました。
今はなき
お父ちゃんのお話しです。

僕がまだ
うら若き頃
お父ちゃんに曳かれて家業の
お手伝いを始めました。

うちのお父ちゃんてば
悪しき軍隊気質が抜けやらず
そりゃーもう

うぬをも言わさぬ
トップダウンで
すべからく命令口調でした。(笑)

よし!
名を名乗れ!
復唱しろ!
返事は一つでええ!
言われたこと黙ってやれ!

それがまた
身内にだけじゃないんです。よ

お得意様の社長さんであろうが
平社員であろうが。
おかまいなしでしたね(笑)

それが
不思議と
周りの人達からは一目おかれていて
わりと好かれてはりました。

『君とこの親父にかかったら
かなわんわ(笑)』

みたいな

おとうちゃんは
世間的には
どっかの大学教授か
はたまた
牢名主のような
ポジションだったんですね。。

実の息子にすれば
ただただ頑固でうるさいだけの
偏屈オッサンでしたけどね。

それでも
尊敬できることが一つ
ありました。

仕事だけは手を抜かず
人一倍やってはったことでした。

仕事の手をとめると
たちまち機嫌がわるくなって
もう大変でしたから。

それがある日のこと
お父ちゃんが
仕事をバリバリしてる時でした。

怪しいベレー帽のお爺さんが
工場に飛び込んできました。

それは
町工場には不釣り合いな風体で
いかにもまがい物の額縁を
小脇に抱えてはりましたね。(笑)

もちろん
お父ちゃんはそんなの
完全無視です。

それが
そのお爺さんは
1歩踏み出す度に

『いくらでもいいですからぁ~
この絵を買ってもらないでしょうか?』

『ほんとに、幾らでもいいですからこの絵買って貰えないでしょうか?』

『ほんとにほんとに、幾らでも・・・・』

3歩4歩5歩
いつの間にか
お父ちゃんの真横に
立ってはりましたね。(笑)

ヤバイ
お父ちゃん怒るで~(´・ω・`)

僕の方がたじろいでました。やん

それが
ベレー帽のお爺さんを一瞥してから
目の前にかざされていた油絵を見て
お父ちゃん
黙ってしまいました。のよ

えーっ?
まかり間違ってもお父ちゃん
美術には関心がない。筈やのに

それは
フランス人形のような
少女の肖像画でした。

趣味悪ぅ~(´・ω・`)

ほいでお父ちゃんが
われにかえってこう言いはりました

『ほんまになんぼでもええんか?
それなら~1000円でもええか?』

えっー?
買うの?

するとお爺さんが曰く

『旦那さぁん
なんぼでもいいですけど
これ額縁だけでも2000円しますねん。
とほほ』

するとすかさず
お父ちゃん

『ほな2200円でこうたるわ!』

えーっ?
ほんまに買うの?

なんのことやら意味わからず
トントン拍子てした。

それ以来
あの時の肖像画が今も
事務所の壁に掛かったままです。

それを見る度に
僕は
あの時のお父ちゃんを
思い出すんです。


だってね
お父ちゃんが亡くなって
写真を整理してるときのこと、

一枚のセピア色の写真に
その肖像画とそっくりの女性が
写っていたんです。

お母ちゃんに聞くとー

それは
お母ちゃんの親友で

若くしてこの世を去った

お父ちゃんの恋人だったそうです。



(^^)ぅ~
お父ちゃん
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コメント

60代半ば  富山県

2015/02/17 0:13

2.  野口五郎さんの歌ですね〓青い林檎を抱きしめても思い出さえ帰ら~ない。涙なみだの海に今沈もおう[るんるん]〓始めてヒットした曲。デビュー曲は、博多未練(演歌)でした。

2015/02/17 0:12

1. こんばんは[夜]本日のいいねは、本当にいいねだからね[にこにこ]何かジインって来たよ[涙]今日私の父親腸閉塞で入院先の病院から別の病院に転院して[もうやだ~(悲しい顔)]管だらけになった父親見て[泣き顔]親不孝な娘を反省したよ[涙]

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