〇〇さんが我が社に来たのは
２月初頭
時期的に求人公告の反響が悪く
掲載後一週間ほど経っていました。

そんな折
〇〇さんからの電話がありました。

「募集はまだしてはりますか？」

そして後日

遠慮気味に訪問した〇〇さんは
見るからに病み上がりで
力仕事などとても望めない様子でした。

もし
好意的にみるならば

眼光は鋭く
歩き方に無駄がなく
お話しの内容もストレートで
簡潔だったものです。

当時
〇〇さんの他には
40歳代と50歳代の三人応募者が
ありましたが、

皆さんそれぞれ一長一短で
決め手にかけていました。

その点
70歳と言う年齢面と
体力面さえ目をつむれば

〇〇さんは経験気力
そしてなによりも
もの作りに対する姿勢が
一本通っていたように記憶します。

聞けば三年前に胃を全摘したあと
抗ガン剤治療で殆ど寝たきりだったそうです。

筋肉は萎縮し歩くことも儘ならない状況で
もう一度歩きたい。

「ただそれだけを考えてた。」

そして
歩けるようになって
つぎはもう一度働いて役に立ちたい。

一度ためしに使ってほしい。
駄目ならお金はいいから諦めます。

面接の短時間にここまで聞かされちゃ
仕方ないてすよね。

まさか面接で
70歳のじっちゃんに
涙目に追い込まれるとは・・・

ここはぐっとこらえてました。

「じゃー2・3日
様子を見させてもらいますけど
駄目ならダメと容赦なく言いますよ。」

そんな出だしでした。

でもこの時は
まさか
リンパや膵臓脾臓胆のうまで
摘出してはるとは思いもよりませんでした。

当初
〇〇さんはたった25Kgの袋を
持ち上げれなくて
それは他のものがフォローしてあげて

ただし
技術的な細工や組み立ては
他のものよりかなりな完成度でした。

なにより
弱音や疲れを表に出さず
出きることをありがたくしている
って印象でした。

そして現在
〇〇さんは25Kgの袋を持って
それも何袋でも運べるまで
体力を取り戻してはりました。

胃が無いので
お菓子やウインナーを絶えず小まめに
食べていたのに

今では食道が大きくなって
一人前のお弁当を平らげてはります。

40Kgを切っていた体重も47Kgになりまた。

ですから
会う人毎に
僕は人にこう言っています。

胃も膵臓も胆のうも脾臓もないけど
並以上に働いてはる
〇〇さんは

「奇跡の人なんですよ。」

先日１ヶ月ごとの検査で
肝臓の数値もよく
担当の先生も驚かれたそうです。

〇〇さんは働けることが
夢のようでむしろ手をとめることが
立ち止まることが怖いと
言われます。

とはいっても
無理をなさらずに
いつまでもお元気で
いてほしいと常々思っています。