尼崎ラブ行進曲~言い訳
50代半ば  大阪府
2016/01/17 17:23
尼崎ラブ行進曲~言い訳
男と女は

出屋敷界隈のとある創作料理店で

淡路産玉葱の丸ごと焼きを

食べていた。

それは文字通り
大きいたまねぎを
丸ごと焼いて

真っ二つに割斬った料理だった。

丁度半分ずつ取り皿に分けて
中から一枚ずつめくり出して
ポン酢に浸けて食べるのだ。

決して甘くもなく美味と言うわけでもなく
その口の中をサッパリさせてくれる食感に

男と女の好みが交わっていた。

そして一枚捲っては
おでことか指先とか口元とか・・・
お互いのどこかを垣間見て

なんだかベッドの延長戦のように
目と舌で嘗めずりあっていた。

この店は女の実家の近くにあって
女にとっては
最寄りの駅前を通りすがる度に
一度入ってみたかったお店でもあった。

このお店は
篦棒(べらぼう)にお高いわけでもないが
とはいっても
女の小遣いではそうそう入れるほど
安くもなかった。

勿論女がその気にれば
週2のアルバイトで行く
クラブの同伴やアフターで

小金持ちのお客さんにねだれば
もっと高級な料理を
ご馳走してもらえるのだが・・・

だが
女はそこでは
お酒の相伴に徹して
気を遣う相手と食事をするのは
好まなかった。


「持ち帰ろうと下心のある男に
奢ってもらってもねえ・・・美味しくないし
それなら自分のお金で食べた方がええもん。」


「えっ?それは喜んでええんか?
微妙やな。」


「鮃の薄造りと
あとローストビーフも
追加してください。」

こんな感じ。
遠慮しなくて喜べ~みたいな。(笑)


「この淡路の玉葱、ほんと美味しいね。
なんか血がサラサラになって、
気持ちもサッパリしていくみたいやん」


「・・・言い過ぎやろ?」

それはなんかの前振りだったのか
女は声のトーンを落として
思いがけないことを言った。


「あの頃は・・・
男なんてどうせみんな
やりたいだけやと思っていたから・・・
・・・言い訳やけどな・・・」



「えっ?」

女の声のトーンが低すぎて
音声とその意味が後をおうように
聴こえてきていた。


「えっ?えっ?あっああ~」


僕なんかに
言い訳なんてしなくてもいいのに

男はそう無言で
最後の玉葱をめくった。



ぴゅー♪
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コメント

50代半ば  大阪府

2016/01/17 18:41

2.  >>1 「みろく」(ガラケーです。)さん
こんばんはー。
コメントありがとうございます。
左の写メは桜鯛の薄造りですね。(笑)
右側が淡路の玉葱丸ごと焼きです。

60代半ば  奈良県

2016/01/17 17:56

1. 今晩は。

中々の
文章ですね!!

画像左はフグでは無く、玉ねぎですか?

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