あいつには
不思議な存在感が
ありました。

容姿は
舟木一夫と高倉健を足して
２で割ったような
昔のイケメンという評価で
間違いありませんでした。

彼の生前に何度か
彼に誘われてカラオケスナックに
行ったことがあるのですが、

カウンターのお姉ちゃん達は
こぞってやつのファンでした。

何軒か梯子しても
やはり他の客を尻目に
彼ばかりが大もてなんですね。

まあ僕とは好みがかなり違いましたから
実害はありませんでしたねどね(笑)

お店に入ると彼はまず
烏龍茶を一杯頼みます。
一杯だけです。

カラオケスナックですから
当然他のお客さんがマイクの取り合い
大音響とエグいエコーで
ガンガンうるさいんですね。

僕は呑めないのに
たいていロックをダブルでチビチビします。

するとお姉さん達が
他のお客さんからマイクを奪って
彼に渡して

「ねえねえ〇〇ミツさん
今日はあれー歌って！」

そう言って烏龍茶に角氷を
ひとつチャリン♪

そんな風に
カウンターのお姉さんが
代わる代わるおねだりマイクなんです。

歌謡曲あり
演歌あり
ポピュラーから軍歌から
おい？
ご詠歌までか？

それぞれの懐メロを
オールカバー
しちゃってました。←

そうなんです。

やつの知能指数は170オーバー
まるで歩くジュークボックス
だったんですね。(笑)

そして彼の烏龍茶に氷がチャポン♪

なんとも羨ましいような
おばかさんなような・・・

たとえば百人一首の何番か言うと
その下の句と上の句を全部
朗読したりとかね。

で
僕はいつもこう言うんです。

「おまえなぁ！
折角の知能指数でもっと他に
詰め込むもんなかったんかいな？」

大抵はその記憶力に
誰もに感心されてるせいか
こんな風に僕にばかにされると
なわともくすぐったそうに
キモい薄笑いを浮かべていました。(笑)

それはさて置き
そんなやつのもてぶりはすごかった。

とにかく烏龍茶一杯と氷だけで
気前よく一万円は落としますから
運転もオッケイ。

誰がやつに家まで送って貰うか
お店の裏方で
お姉さん達の小競り合いが
勃発してました。

「今日は私を送っていってぇー！」
「今日は私の番やんかぁー！」

聞いてるこっちが
バカらしくなったものです。

でもね
とてつもなくスケベなくせに
やつには挿入願望ってものが
全くなかったんです。

やつは
お姉さん達もしってる
やつ自身も自負する

フェラとクンニの
大星人だったんです。

次回は
やつがなぜ
そんな風になったのか

きくも涙のエピソード3を
書きたいとおもいます。



南無阿彌陀仏
う～(´・ω・`)