それが
下衆の極みに成らないための
男と女のプロローグです。

お互いに
プライベートに
こじ開けて作った、
4時間あまりの器の中に

好きと言う気持ちを
小さじに少々

愛と言う甘い呪文を
ひとまぶし

そして
シンプルに
剥き出しになった
雄と雌の突起を弄り

大さじいっぱいの
性欲と愛欲の滴りで

堕ちていく。

それが
飽きもせず
離れもせずに
下衆の極みには
堕ちてはいけない
男と女のエピローグに

なっていくんですね。

本気になれば失ない
浮気になれば裏切で

粘着すれば張り裂ける。
癒着をすれば辛くなる。

それが嫌なら
出直しておいで

ってことか

女
「ねえねえー♪
家からバスクリンもってきたぁー♪」


「バ？ク？・・・リン？」
←男には聞き取れない速さで女が喋る。

女は上機嫌で
ハミングしながら
袋の中身をパタパタ
片寄せてそれを男に見せる

それでも男には
唐突な女の言動には
付いていけない事がある

女
「これなぁ
お誕生日とか引出物で貰って
家に腐るほどあるねん。」

男は
なんのことかさっぱりわからない。
「・・・ふーんそうか。」

女は日頃シャワーばかりで
湯船に浸かるのは
男と入るラブホのお風呂くらいだって。

男がすこし遅れバスルームに入ると
いい香りがした。

男
「あっ？バスクリンやんか。」

女
「・・・・・？」

いっきにきげんが悪くなった。
（そう言えばさっきから
この事を言っていたのかと・・・気付く）

男「・・・・・・・・・」
女「・・・・・・・・・」

体育座りで
湯船に並んだまんま

男と女の沈黙が
バスクリンに溶けていく。

そして
週に一度の
漁り火だから
体も溶けて燃え尽くす。


こんなラブホの抒情詩に
身も心もボヤケてゆきます

そして明日また
女が美味しいもつ鍋の店を見つけたと
やってくる。

【色欲亭彦三治の戯言】