今日も何かしらの夢を見た
気がする。

内容は全く覚えていないが
婆ちゃんちの廊下だけが
記憶に残っていた。

懐かしいな…
なんて思っていると
自分が小さかった頃の
婆ちゃんちでの出来事の
幾つかを思い出した。

婆ちゃんちの猫のトラとクロ
二匹とも婆ちゃんには
よく懐いていたが影猫の
クロは俺ら子供の姿を見ると
外に出たがり、姿を消す為に
遊んだ記憶が殆ど無い。

トラは誰にでも懐いたので
遊び相手にもなってくれた。

ただ、遊んでる最中でも
婆ちゃんが畑仕事に行くと
後に付いて行くので更に
その後を追ったりしてた。

それから数年経った頃
陽当りの良い廊下で過ごす
ことが多くなったそうだ。

婆ちゃんが畑仕事に出ても
外に出ることはなく廊下で
帰りを待つ感じに見えた。

婆ちゃんに聞くと
『トラは婆ちゃん猫だから
のんびりしたいんだよ』と。

確かにその頃は遊びたくて
ちょっかいを出しても反応が
無かったり微かに口元を
動かし声にならない鳴き声で
応えるという感じで子供の
自分は物足りなさを感じた。

小学校高学年の頃だったか
夏休みに婆ちゃんちに行くと
トラの姿が見当たらない。

『トラは死んじゃったよ』
楽しいはずの婆ちゃんちが
その時は少し悲しく思えた。

『どうして死んだの？
なんで？』

『歳だったからねぇ
猫にしては長生きしたよ』

それからトラが初めて家に
来た時の話から色々聞いた。

最期はあまり動こうとしない
トラが外に出たがったらしく
それで婆ちゃんは悟ったそうで
次の日、畑仕事に出た時に
畑の隅っこで見付けたそうだ。

子供の頃は解らなかったが
昔の飼い猫はそういうもの
だと。

クロはというと
トラがいなくなっても
相変わらずだった。

そんなクロもいつからか
帰ってこなくなったそうだ。

そしてクロは探したけど
見付けてあげられなかったと。

婆ちゃんが逝ってからは
二匹とも婆ちゃんの後を
付いて歩いてるのかねぇ…




さて、仕事行くか。