破局
会社帰り、駅を降りてから、ひたすら夜道を歩いていたわけですが。
改札口で少し前にいた女性が、いつまでも俺のすぐ前を歩き続ける形になったので閉口した。
大通りに出て、橋をわたり、狭い路地裏に入っても、女性はずっと前方を歩き続けているのだ。
相手のほうも、ずっと背後に位置している俺の存在に気づいたようで、ときどき振り返っては歩く速度をあげていく。
夜道なのも悪いのだろうが、あからさまに警戒されているのだ。
ああ、そうじゃない!
ただ偶然、帰宅ルートが同じなんだってば!!
…と叫びたくなったが、叫んだところで、ますますマズいことになるのは自明である。
そこで急きょ、いちばん手前の交差点を曲がってやりすごすことにしたのだが、間の悪いことに、次の交差点でまたもや彼女と鉢合わせしてしまった。
引きつった表情で携帯電話を取り出す彼女。
…うわっ。
俺のほうもつい、そこで立ち止まってしまった。
いたたまれなくなって、とっさに駆け足で立ち去ってしまった。
ああ、もうダメだなと思いました。
どうでもいいことが破局を迎えた瞬間。
コメント
2020/04/03 7:03
2. >>1 めぐ@今年ゎ積極的mode(^^;)さん
けっこうゆっくり歩きなもので(苦笑)
返コメ
2020/04/02 9:14
1. 微妙だねそんな時は逆におい抜かせば良いのかも
返コメ