ちょびひげ
さっき「ちょびひげ」を漢字変換しようとしたら、「著美卑下」になった。
三島由紀夫のような絢爛たる文体で、自分のことを悪く言ったりするんだろうか。
ためしに、『仮面の告白』から一部抜粋。
幼少時代の病弱と溺愛のおかげで人の顔をまともに見上げることも憚られる子供になっていた私は、そのころから、「強くあらねばならぬ」という一つの格率に憑かれだしていた。
そのための訓練を、私はゆきかえりの電車のなかで、誰彼の見堺なく乗客の顔をじっと睨みつけることに見出した。
おなじく『仮面の告白』の有名なくだりからもうひとつ。
その絵(セバスチャン図:筆者注)を見た刹那、私の全存在は、或る異教的な歓喜に押しゆるがされた。
私の血液は奔騰し、私の器官は憤怒の色をたたえた。
この巨大な・張り裂けるばかりになった私の一部は、今までになく激しく私の行使を待って、私の無知をなじり、憤ろしく息づいていた。
私の手はしらずしらず、誰にも教えられぬ動きをはじめた。
…たしかに「著美卑下」文学かも。
生前の氏にこんなこと言ったら、切腹を命じられそうだけど。