無知
風邪をひいた知人が、毎日のように大量の風邪薬を飲んでいる。
いわく「風邪菌を殺して早く治りたいから」。
こういう人を見ると、世の常識ってなんなのだろうと不思議な感覚にとらわれる。
「風邪薬を発明したらノーベル賞モノ」というのは誰もが知っていることだと思っていたが、実はそうでもないらしい。
そもそも細菌とウイルスの違いも、実は知らない人が多いのかもしれない。
俺のような門外漢がこんなことを説明するのも気が引けるのだが、
・風邪のほとんどはウイルスによって起こる
・抗生物質は細菌は殺すがウイルスには全く効果がない
・風邪ウイルスを殺す薬は今のところない
・風邪薬は熱を下げたりするから一時的には楽になるけれど
・そもそも熱が上がるのは免疫細胞の活性化を助けるための現象である
・無理に熱を下げたら風邪ウイルスに対する抵抗力が余計に弱くなることもある
・だから結局は休養にまさる薬はない
といったところだろうか(ただしインフルエンザやコロナはまたちょっと別)。
だから俺は、風邪をひいてもまず風邪薬など飲まないし、少々熱が上がっても「免疫細胞が頑張ってる証拠だね」と思ってそのままやりすごす。
これまでの経験でも、高熱を出してどんどん汗が流れた風邪のほうが、早く治ることが多かった。
実際、ウイルス退治に効果があるとされるインターフェロンなんかの薬は、副作用としてすごい高熱が出るのが通例ではないか。
…なんてことを思っていたのだが、考えてみたら俺も、世間では常識とされていることを全然知らなかったりする。
「自分は何を知らないのか」さえ分からないまま暮らしているのだから、これはもうどうしようもない。
自分が知らないことって、知っていることと似たようなところがありますな。
自分が知らないってことを知らないから、自分は知っていると勘違いする。
逆に、いろんなことを知れば知るほど、自分は何も知らないことを自覚していく。(昔からソクラテスが「無知の知」と言ってることだけど)
世界一の物知り博士は赤ちゃんなのかもしれませんな。
「小生に知らないことなど何もない。バブー」って。