貧乏感
夕食に鯛のあら汁を作ってみたら、たいそう美味だった。
一匹ぶんのあら(頭や背骨など)が入って120円という驚きの安さ。
おまけに作りかたも超簡単。
ほんとうは下焼きしたり、湯通ししたりするようだけど、そのまま炊くだけでも滅法うまい。
1.お湯を沸かして、だし汁(市販のやつ)を入れる
2.大根とあらを放り込む
3.味噌と醤油、みりんで味つけ
4.ネギを散らして出来上がり
食べてみると意外にたくさん肉が付いているし、とりわけ目や口のまわりの肉は歯ごたえと風味がしっかりしている。
あら独特のガラスープに似たコクが味噌とあいまった、なんともいえない奥ゆきのある味わいもクセになりそうである。
そしてなにより、あらの醸し出す「貧乏な感じ」がたまらない。
貧乏そうな食事って、どうしてこんなに美味しいんだろう。
「食べ物に困窮してる感」が人類古来の「餓えの記憶」を呼び覚ますんだろうか。
貧乏感は最高のソースなり。
いまのグルメに足りないのは、こういう貧乏感だと思う。
いくらでも手に入る美食なんて、個人的にはあまり有り難くない。
それよりも、「赤貧にあえぐなか、ようやく手に入れた魚のあらを大切に煮て…」という感覚のほうに、倒錯的な美味さを感じるのは俺だけだろうか。
究極のグルメは「しょうゆご飯」なのかもしれませんな。
それも古米の麦飯で。
そういや小学生の頃、戦争教育の一環として、親をまじえて「すいとん」を作って食べたことがあった。
教師いわく、「戦時中はこんな食べ物でもぜいたくだったのよ」。
当時の貧相な食材を味わうことによって、戦争の悲惨さを理解しよう、という趣旨だったのだろうけれど、このときも小生、すいとんの倒錯した美味さにノックアウトされてしまったわけでありまして。
翌日から両親に「晩ご飯はすいとんにして!」とせがみ続けて、おかしな雰囲気になったことを懐かしく思い出しました。
コメント
2021/03/10 5:46
2. >>1 まりなさん
自称味覚音痴ですが、自信が持てました!
ありがとうございます(^^)
返コメ
2021/03/09 9:16
1. いえいえ、鯛のあら汁→「鯛の潮汁」は
高級料亭じゃなきゃなかなか出ない
本当は贅沢な味
きっと素材の美味しさを理解できる味覚をお持ちなんですね
返コメ