エピソード
もう十年以上前の話になるけれど、大学生の頃、当時ひそかに片思いしていた女性を飲みに誘ったことがある。
したらば一応の承諾を得られたので、がんばって背伸びして、バーテンがシェーカー振ってるようなバーに彼女を案内したわけでありますが。
緊張もあってあまり話題が浮かばない状況に焦った俺は、たまたま注文していたダイキリ(ラムベースのカクテル)について、冗談のつもりで相手にウソを教えてみたのだった。
「ダイキリって名前、寄席とかのダイキリが語源なんだって」
「寄席を見たガイジンが、こいつは面白い! っつって考案したんだとか」
そしたら間髪入れずに返ってきた。
「アハハ、ウソでしょそれ」
「大喜利って、オオギリって読むんだよ」
俺は「大喜利」をダイキリと読んでいたんである。
冗談を言ったつもりが逆に、己の無知をさらすことになって。
おまけにバーテンからも失笑されて。
くーっ、せっかく見栄張ってバーに行ったのに、このざまはなんだ!?
「ノッチくんって面白い人ね」と言われたものの、彼女とはそれが最初で最後のデートと相成りました。
当たり前ですか。
…ときどきこういう「自分で自分をぶん殴りたいエピソード」を思い出して、電車の中とかなのにワーッと叫びたくなります。
わ。