ボンジュール
職場で社内PR誌を定期発行することになり、その編集を俺が担当することになった。
「社員の声」みたいな感じでみんなから原稿を集めたり、テーマを決めて特集を組んだり。
…こういうチマチマした作業は大好きなので、勤務先では今、「もっとも楽しい仕事のひとつ」なわけでありますが。
いよいよ刊行という段になって、問題がひとつ勃発した。
上からは「ノッチさんの好きにやってくれていいよ」と言われていたので、PR誌のタイトルも自分の一存で決めていいんだとばかり思っていた。
それでいろいろ思いあぐねた末、力強くてかっこいいタイトルとして、『広報ドラゴン』という名前で発行することに決めていたのだった。
しかし先日、フランスにかぶれている上司が妙なことを言い出したのだ。
「ノッチくん、例のPR誌だけどね。名称に『ボンジュール』って言葉を入れたら、お洒落でいいんじゃないかね?」
そんな無茶な。
こちとら『ドラゴン』でいく気運になっていたのだ。
今さらこんなこと言われても!
同僚に相談してみたところ、「でもさあ、上司の意向を無視するのってよくない気がするなァ。おまえの印象が悪くなってもよくないし」との返答。
ううむ。
でも、どうしても『ドラゴン』は入れたい。
俺にも責任編集している意地がある。
というわけで、部署内の数人でミーティングしたところ、とうとうPR誌のタイトルが決まってしまったのでした。
『ボンジュールドラゴン』
…この折衷案はなんだ。
まるで三谷幸喜のコントじゃないか。
まあいいや、俺くの人生など妥協してナンボである。
ボンジュールドラゴンの発行に、おとなしくがんばります。