降りしきる雪の夜に
50代後半  北海道(道北)
2016/12/25 17:43
降りしきる雪の夜に
寒い夜でした


子猫たちは

体を寄せあって

か細い鳴き声をあげ続けていました


お母さん猫の

暖かくて優しい毛並みを

必死にさがすかのように


まだはっきりとは見えない

小さな瞳には


空から

しんしんと舞いおちる

冷たい雪の姿が


ぼんやりと映っていました


「あぁ・・

雪って

真っ白で美味しそうだけど

なんて冷たいんだろ・・」


空腹と寒さで

だんだんと

弱まっていく

意識の中で


子猫は

そんなことを

考えていました



街灯に照らされているのは

静かな雪の

住宅街


クリスマスイブの夜


家々の窓から

もれる

暖かそうな灯り


楽しそうな

子供たちの笑い声が


子猫たちの耳にも聞こえて来ます


「あぁ・・

楽しそうだなぁ・・


ぼくも今度生まれ変わったら

人間になって


あんなふうに

みんなでなかよく

くらしたいなぁ・・」



薄れていく意識のなかで


優しかったお母さんや

きょうだいたちと暮らした

短い日々を


子猫は

思い出していました



「さようなら

お母さん・・

さようなら

みんな・・」



そうして

まぶたを

ゆっくりと

閉じかけた

子猫の瞳に


キラキラと舞い散る

光の華が映りました


「あぁ・・

ぼくたち

ようやく

天国へいけるんだ・・」



ぼんやり見つめていると



遠くの空から


ひときわ明るい輝きを放ちながら


何かが

こちらに向かってやって来ます


「あれが

神さまかなぁ?

ぼくたちを

迎えに来てくれたのかなぁ?」


それは


鈴の音のような


シャンシャンシャンシャン♪


という音を

響かせ


光の華を

空に撒き散らしながら


あっという間に


子猫たちのもとへ

やって来ました


それは

トナカイがひくソリでした


そして

たづなをひいていたのは


真っ白なひげをはやし


暖かそうな赤い帽子と

赤いコートを身につけた


やさしそうな

おじいさんでした


おじいさんは

ソリからおりると


大きな暖かい手で


子猫たちを

優しく抱き上げました


「か、神様?」


子猫は

消え入りそうな声で

聞きました



「残念ながら

わしは神ではない・・


子供たちに

プレゼントをとどけにきたんじゃ」



おじいさんは

ニコニコしながら

やさしそうな声でいいました


「じゃあ・・

ぼくらは

天国には行けないの?」


子猫は

泣きそうになるのを

こらえながら聞きました



「そうじゃな

わしは神ではない


だから

残念だが


お前たちを

天国に連れて行ってやることはできん」


そう言いながらも

なぜか

おじいさんは

ニコニコと笑っています


「じゃが

おまえに

これをプレゼントしよう」



そう言って

おじいさんが

コートのポケットから取り出したのは

一通の手紙でした



「これは

わしが神から授けられた

大切な手紙じゃ


その手紙には

神のお言葉がしるされておる


その手紙を、神のお言葉を

おまえが


願いを思いながら


声に出して読めば


おまえの目の前に

神のお力は

示されるであろう



そう言うと

おじいさんは

いっそうニコニコ笑いながら


神さまから

授けられたという手紙を

子猫に開いて

見せてくれました


驚いた事に

きれいに包まれて

畳まれていた手紙は


開いたとたん


まばゆいばかりの光を

放って輝きはじめました


子猫は思わず

目をつぶってしまいました


「こ、これじゃあ

まぶしくて見えないょ」


それでも

おそるおそる

薄目をあけてみて

子猫はびっくりしました


まぶしいはずなのに

手紙の言葉が

見えるではありませんか


それどころか

光に優しく包まれているような

なんともいえない

感覚がありました


「まるで

お母さんに抱かれてるみたい」


さっきまで

あんなに

寒くてさびしくて

おなかがぺこぺこで

今にも死にそうだった

つらい感覚のすべてが


うそのように無くなっていました



「でも

ぼく

人間の文字なんて

読めないよ・・」


すると

姿はまばゆい光のせいで

見えないのに

おじいさんの声がします


「大丈夫じゃ

そこに見えるのは

人間の文字ではない

神のお言葉だ


よって

生きとし生けるもの

すべてが

読むことができるのじゃ


なぜなら

お前たちもまた

神がつくりだした

命にほかならんからの」


姿はみえないけれど

おじいさんの言葉は

子猫のこころに

響いてきます


不思議な事に


光に包まれて

おじいさんの言葉を聞いていると

どんどんこころに勇気が

わき上がってくるのを


子猫は感じていました


「そうか

じゃあ読んでみるよ」



あらためて

子猫は

手紙をまじまじと

見つめました


そこには

こう記されていました


「ねがいを・・

ひとつだけ・・

かなえよう・・?」


「どうしよう・・」

子猫は悩みました


実は子猫たちは

3びきいたのです


手紙を読んでいる子猫以外の2ひきは

もうすでに

虫の息です


「どうすればいい・・

家族みんなで幸せに暮らすには

神さまに

なんてお願いすれば・・」


子猫は考えました


小さなかわいい目で

じっと神さまのことばを

見つめながら


みんなの命を救ってもらえても

自分たちだけで

生きて行く事は

できないでしょう


そして

天国へ行ったら

お母さんには

2度と会えなくなるでしょう


「どうすればいい・・

なんてお願いすれば・・」


※長くなりすぎちゃったので

続きはあとで・・
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コメント

50代後半  北海道(道北)

2016/12/30 17:06

2.  >>1 まこと プチ休会中さん
いつもコメントありがとう♪

それはちょっと誉めすぎかな

でもありがとう♪

まことちゃんも良いお年を

お迎え下さい♪

70代以上  北海道(道央)

2016/12/30 12:06

1. フランダースの犬を思い出して泣きそうになりました・・・

凄い文才です!
小説とか、絵本とか本当に出せると思うので、一度何かの賞とか?出版社に出してみてはどうでしょうか?

子猫の気持ちがとにかく切なくて泣けます・・・

良いお年を\(^o^)/

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