高校生だった息子に半ば強引に初めての一人旅を勧めたのは、



息子を生き返らせる為でした。






もともとめちゃくちゃ難関大学を目指していた息子、
高1までは学年でトップ争いをしていました、当たり前みたいに。

高2になり勉強をしなくなり勿論成績も下がり、


でもそれ以上にひたすら何かに苦しんでいるのが、

息子自身は決して口には出さなかったけど…

伝わって来ていました。



私には毎日笑顔で冗談ばかり言ってましたが、

息子は何かに心底苦しんでいました…





とうとう受験勉強を一切放棄した息子に、初めて私は「勉強しなさい」

小学校から一度も言ったことのなかった言葉を初めて、何度か口にした時、

私も苦しかったけど、
私以上に苦しんでいるのは息子なんだと思ったら、



勉強しなさいの代わりに、


「アンタ！旅行に行きな」って言ってました……





何も考えない、
一人になる、
誰も知らない場所、

自分を解放してごらん！






結局、勉強は放棄したまま最後に帳尻合わせの受験勉強だけ赤本を1週間だけ(笑)で、
目指していた大学よりうんとランクを下げ今の大学を受け、宙ぶらりんな気持ちのまま入学したのですが、

いざ通い始めた大学の楽しさに気持ちも安定し、ある日話してくれました。



「…俺、あの頃、もう何もかもどうでも良かった。
勉強なんかって思ってたし、
大学？どうでもいいって…
自分で自分がどうにも出来なかった。
お母さんが心配してくれてるの、わかってたのに
……俺なんか要らないだろう！って毎日死ぬこと考えてた。
そうしたらお母さんが何も言わないで何も聞かないで突然、
旅行に行きな！って言ってくれた
俺、旅行なんかって思ったよ。
でもお母さんがｻｯｻと旅行の手続きしてくれて…
嫌々だけど行ったら、
俺、世界観が変わったんだ
俺、自分がどんなにちっぽけな人間か気付いたんだ
世の中いろんな人がいて、いろんな場所があって…
俺、一体なんなんだって！
生きろよ！俺って思えたんだ
一人になって毎日、客観的に自分を見ることが出来たら、
死にたい程悩んで苦しんでたこともアリだって思えたんだ…
俺はまだまだ行きたい場所が山程出来た
二度と死にたいなんて思わないよ
お母さんのおかげだ
何も聞かないで旅行に行かせてくれて、ありがとう」



旅行は秘薬だね