気持ち良く寝ていた僕


すると突然


ﾛﾝがけたたましく吠えた

｢ﾜﾝ！ﾜﾝ！ﾜﾝ！｣
５回１０回…


一向に泣き止む気配はない


隣の神社に向かって吠えている


僕は神社に頭を向けて寝ている

そこの窓は網戸にしてある

網戸一枚隔ててすぐに神社



ﾛﾝは僕の頭の下で吠えているから､やかましい



神社に誰かいるのかな…


時間を確認すると





ちょうど２時



草木も眠るという時間だ


眠気が体を動かしてくれない


それでもﾛﾝは､より一層激しく吠える

網戸に爪をたて


網戸を倒してしまいそうな勢いだ



ふと


なんだか嫌な気配を感じた



空気が動いた気がした

誰かいる


ﾍﾞｯﾄﾞに横たわる僕の頭の上に


何かしら良からぬ物がいる




そんな空気を感じた



網戸の向こうには塀があるのに…


まさか


塀の向こうから覗いても見えないはずだ


身長が３ﾒｰﾄﾙもあれば別だが…





良からぬ物を確認しなければ


僕はﾍﾞｯﾄﾞから立ち上がり


網戸に近づき


神社の方を見た


しかし


何も確認できない


が


相手はもっと近くにいたんだ







目の前に黒い影が





｢うわぁ！｣



その影は丸まっていたが


突然立ち上がるかのように大きくなった



しかも



その影は二つ




月明かりが照らしたのか


部屋の灯りをつけずに見たから見えたのか



そこには


二つの…






ｱﾗｲｸﾞﾏの姿が





｢こらぁ！｣



びっくりして

塀の上を後ろに下がり


そして


お隣の倉庫の上に逃げていく







１０年ほど前にも同じ経験をした僕




ﾛﾝは興奮して家の中を走り回る




我が家の塀を乗り越え果物や野菜を狙ったのか


ﾛﾝが阻止してくれた丑三つ時の出来事だった