奴の実家は、事業をやっている

立派な実家だ

小学生の時に母親が亡くなり

すぐに継母がやってきた

連れ子もいた

中学校で仲良くなったのだが

奴だけは、立派な実家ではなく

近くの住み込みの従業員用のプレハブに独りで住まわされていた

何度も遊びに行ったが、お茶の一つ出してもらった事がない

だから

父親や継母の顔も知らないんだ

もちろん本宅に入ったこともない

中学３年の時
高校はどこに行くか頑として言わなかった

そして、奴が行ったのは

全寮制の宗教絡みの高校

奴にそんな宗教への気持ちがあったのかと聞くと

全くないと言った

両親に決められたと言った

そんな高校時代

奴は教師を目指したのだが

高校３年の時

体を壊し、入試は受けられなかった

親から私立はいかんと言われていたから

諦めて

卒業すると

住み込みの仕事をしながら大学受験を目指した

しかし

仕事をしながら大学受験なんて…

毎年１年働き、入試

１年働き入試

それを繰り返したが


いつしか諦めた

そして

いつしか職を転々としながら

３０を過ぎた頃に、安定した会社に勤め始めた