日本のスパコンが世界で1位じゃなくて良い理由
40代前半  岡山県
2010/10/09 19:01
日本のスパコンが世界で1位じゃなくて良い理由
先ほどノーベル化学賞に輝いた鈴木章・北海道大名誉教授は産経新聞の取材に対して

蓮舫行政刷新担当相の「2位じゃだめなんでしょうか」との発言については、

「科学や技術を全く知らない人の言葉だ」と言ったそうである。

しかしこの言葉を真に受けてはいけない。

まず鈴木氏は日本のスパコン開発が置かれている状況に対して恐らく全く事情を知らないということと

それに産経新聞は事あるごとに民主党の批判の意見ばかり集めたがる新聞なので

記者が鈴木氏がそう回答するように仕向けた可能性もある。


そもそも考えてもらいたいのが、「世界で一番」といっても色んな一番があるということ。

すなわちノーベル賞並の人類にとって有用なものもあれば、

串焼きの長さが世界一みたいな全く役には立たないモノもある。

もちろんギネスに載ることで町の活性化が図れるというメリットはあろうけど

それに例えば国の予算が一千億円以上注ぎ込まれるとしたらどうだろう?

つまり日本のスパコン技術はまさにそれに近いのである。


まず大規模積算における世界の趨勢は、

安価で優秀な市販のCPUを使ってそれを巨大に集積させるものと

ネットを使って多くのPCを集積させるクラウドコンピューティングが独占している。

その中で日本だけが前世紀的なやり方に固執し、世界の流れからすっかり取り残されてしまった。

しかし日本は、「世界で一番」を取りたいがために実用性を完全に無視して

多額の費用と労力と後の高額維持費を犠牲に開発しているものであり

そんなモノが出来たとしても人類には無用の長物なのである。

つまり日本のスパコンは例え世界で一番の処理能力でも

維持費がバカ高くて全く使えない実用性の皆無な技術。

世界はそんな日本の技術を無視しており

実際に日本のスパコンは全く売れていない。

当たり前だろう。

何故なら企業や研究所がスパコン使おうと思っても、巨額の費用を請求されるなら

じゃ、もうチョット時間がかかっても他の施設を使おうって普通はなるから。

それが証拠に日本のスパコンの開発に携わった企業三社のうち

日立とNECは技術的、商品的に何の意味もないとして途中で撤退してしまった。

残ったのは富士通だけである。

処理能力のランクでも日本のスパコンが世界一になったが

その後の順位は全て外国製であり、しかも日本のものより開発費はべらぼうに安く

維持費も安価で大変使い勝手がよい。

コレを挽回するには日本で民生品として売れるCPUを開発してそれを集積することだが

果たして遙か遠くを先行するインテルやAMDに日本が追いつくだろうか?

しかも現時点で日本製の民生品CPUのシェアが0%の中でそれを達成するには数兆円以上の予算が必要。

とてもじゃないが現実的ではない。

思うに国として世界で一番のスパコン開発は諦めるべきであり

やるなら他の国家と同じ民生品の集積タイプに改めるべきだろう。

そしてそんな無駄な研究費は例えば国産旅客機や戦闘機などの開発費等

日本にとって有用な研究に当てられるのが賢いやり方だと思う。


70年も昔、日本は太平洋戦争で世界で一番巨大な大砲の戦艦を造った。

しかし時代が航空機の時代となった中で

その戦艦がその実力を発揮することなく沈んでしまったことを日本は思い出すべきだろう。

有機合成化学で言えば

有毒で高価な触媒を使うカップリング技術を発見したようなモノで

それが例え世界で一番であっても国の予算を一千億円以上使う価値は皆無である。
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