｢だってﾃﾚﾋﾞで言ってたもん！｣

これは子供の頃､よく会話で言ってた言葉｡

意見がぶつかってどっちが正しい？ってときに

それはまるで水戸黄門の三つ葉葵の印籠のように

｢控え居ろう! この紋所が目に入らぬか｣という､そんな効力を持つ｡

つまりそれくらいﾃﾚﾋﾞで言ってたことは有無を言わさず正しいという

そういう絶対的な価値をもっていた｡

しかし自分も子供から大人に成長し､様々な報道に触れるうち

その認識は実にあやふやな､砂上の楼閣状態であることが分かったのである｡


例えば以前ならばﾃﾚﾋﾞはｽｺﾞｲ人たちが番組の内容を考え

またｽｺﾞｲ人たちが番組内容を検証し､

それが必ず本当であることを確認してから放送していると信じ切っていた｡

しかしその実態は､放送局から低予算で番組制作会社が下請けで制作し

その内容はその下請け会社のﾊﾞｲﾄみたいな人が仕事に忙殺されるなかで出来上がっているに過ぎず

とてもじゃないが､その中にはﾒﾃﾞｨｱﾘﾃﾗｼｰの欠片もない｡

また各新聞社やﾃﾚﾋﾞ局の思惑などもあり

それぞれの思想やｽﾎﾟﾝｻｰ企業などの影響もかなり報道に影響を与え

特に各社が経営的に困窮の極みにある現在では､その様子は顕著であろう｡

また彼らは裁判で敗訴することをとても怖がる｡

それは特に記者ｸﾗﾌﾞに所属する報道機関､

具体的にはﾈｯﾄﾒﾃﾞｨｱや週刊誌以外のﾃﾚﾋﾞ局や新聞社など｡

しかし私たちが本当に欲しいのは､生きた情報や真実｡

国民に広く伝わっている死んだ情報や

事実ではあるが真実ではない情報などは必要ないのである｡

だから例えそれが不確実な情報であっても､視聴者や読者の情報として必要ならば

果敢に報道する必要がある｡

裁判で負けることを恐れてはいけない｡


一例を挙げると､十数年前の金融機関の不良債権問題があった｡

今でこそ､それが莫大な額で厳然と存在したことは誰もが知っているが

当時ﾊﾞﾌﾞﾙがはじけて､それが１００兆円以上もあることを報じた報道機関は皆無､

国民は莫大な額でそれがあることを知らされなかったのである｡

ただ恐らくどこの報道機関も知っていたのだと思う｡

しかしｽﾎﾟﾝｻｰの圧力や裁判で負けたときのﾘｽｸを考えてどこも報じなかったと推測する｡

そして初めて報じたのは週刊誌。

自分は最初は余りに額が大きいので信じられなかったのであるが

暫くしてそれが真実であることを確信し､後にﾃﾚﾋﾞや新聞でも報じるようになって

やっとそれが国民共通の既成事実と化した｡


でもそれで良いのだろうか？

人員も予算も週刊誌よりは遙かに上であろうﾃﾚﾋﾞ局や新聞社がこの体たらくで

結局それによって不良債権の処理は遅れて日本は失われた暗黒の２０年を経ても尚

その負のｽﾊﾟｲﾗﾙから今に至るまで抜けられずにいる｡


やっぱり彼ら報道機関は､国から放送許可を受けるなど様々な利便を享受している｡

ならばその意義をはき違えることなく､我々国民の利益になるように報道するのがその責ではないか？

裁判で負ける可能性があるからとか

ｽﾎﾟﾝｻｰから圧力を受けたからとか

そんなことで真実をねじ曲げいい加減な報道を繰り返すようなら

そんな報道機関なんて必要ない｡

とっととどこかへ行って欲しい｡

代わりはいくらだってある