不変
50代前半  大阪府
2020/08/30 10:29
不変
久々に10年以上会っていなかった友人に会う事になった

彼とは高校もバイト先も同じで、当時僕がその思考、行動等、かなりの影響を受けた数少ない大切な友人のひとりだった

お互いの家から1番近い駅のロータリーで落ち合う事にし、当日僕は車で駅まで向かったけれど、友人は僕が車を替えた事を知らないので気付かないとまずいと思い、車から降りて友人が来るのを待った

そしてしばらくすると友人がチャリンコ大疾走で待ち合わせ場所に現れた

高校時代、一緒にチャリンコを漕ぎ、笑い合いながらバイト先に向かった事とかを思い出し、少し胸が熱くなっている僕

そんな僕にチャリンコにまたがったままの彼は

「久しぶり!」

でも

「会いたかったで~!」

でもなく

「空気抵抗で近寄れん位のスピードで走ったらカナブンとぶつからんで!」

というおよそ10年来の友人に会った時の第一声とは思えない訳の分からん先制パンチをいきなり食らわせてきた

しかし(あ~、コイツはこんな奴だった)

って思い出し僕もそれに対して

(何時からそれかまそう思って大疾走しててん!)

とか

(空気抵抗てなんやねん意味わかるか!)

とか

(いやむしろそこまで言い切った上でカナブン顔に付けとけよ、ほんで「いや、カナブン付いとる!」って突っ込ませろ!)

とか色々対応の仕方はあったんだろうけど

顔の前に虹が出来そうなくらい汗だくになってる友人が可哀想過ぎて

「お、おぅ、そうなんや、すごいな」

としか言えなかった

そして彼はチャリンコを駐輪場に預け、僕の車に乗り込みエアコンの風向を全部自分に向けたまま、彼と僕は街に消えていった……

って言うお話しです
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