セイレーン

ギリシャ神話に出てくる
上半身が女性、下半身が鳥という姿の海の怪物

セイレーンの歌声を聞いた船乗りは自殺するという











｢どうしたんよ？｣
俺はＹに聞いた・・・

｢用事が終わり、早く山に上がろうと思い飛ばしていったんです

そしてＫさんが言っていた近道を行こうと思い橋の手前から曲がって・・・｣

｢だけど、あそこじゃ無いしょ 中○人墓地って塔が立ってるし、雪 積もってなかったか？｣

｢入り口は除雪してあったし吹雪で塔が見えなかったんですよ・・・｣

｢ふーん それから？｣

｢そのまま、どんどん行ったら除雪されてない所まで行って、ヤバいと思い
Ｕターンしたんです

そしたら埋まって、どうにもならなくて電話をしたんです｣
Ｙは続けて話した
相変わらず、手は小刻みに震えてる・・・

｢車の中で待ってると、暇だから目をつぶっていたんですよね、 道路からさほど離れてないから、道を走る車のライトの明かりが、こちらまでくるから余り怖くなかったんです｣

Ｙの顔がこわばってきた

｢ラジオを聞いていたんだけど


ザザッ・・・ブッ・・ ザザッ・・・ザザッ・・・って、雑音が入りだしたんです と同時に鳥肌が
ブヮーーーっと 出たんです

ヤバいと思いながら
早く迎えが来ないか道路を見てたら

下の方から 人影が車のライトに照らされて見えたんです・・・

一瞬、助けかなと思ったんですが、歩いて来るわけがない・・・・・・

確認しょうと見たら…

1人だけでなかったんです

雪明かりと、時々通る車の明かりで見える人影は

沢山

５～1○人でなく・・・

沢山の人影

ゆっくりと揺れるように

来るんです｣


俺はＹの顔が硬直しているのが判った・・・

｢そしたら怖くて、怖くて目をつぶるしか無くて

でも目をつぶっていても気配が判るんですよ

車を囲んでいるのが・・・

なかなか助けが来ないし
疲れてきたのと、気配が薄らいだので・・・

そっと横の窓を見たら…


青白顔や汚れた顔の人が
中を覗き込んでたです

しかも車を取り囲んで

息が詰まり、観念したときに助けに来た車が来たんです
車のライトに照らされたら
やつら、蒸発するように 消えたんです｣


Ｙは話し終えると
震える手で持っている
グラスを煽った・・・

俺もすっかり冷えた体を暖めるため 酒を煽った・・・