偉人を訪ねる一泊の旅【中三の美少女真美との出会い】①
頂上から五合目までをすっぽり覆っていた雲が溶け、
梅雨の晴れ間に、二本の雪渓を走らせた富士山が突然目前に現れた。
僕はGSに車を停めて、その圧倒的な姿をしばらく茫然と見上げた。
「あれが宝永山か…」
ここから見ると、なだらかな裾野の南側が大きくコブ状に膨らんでいる。
宝永4年、今から310年前に起こった宝永噴火の跡だ。
僕の今回の旅は、この宝永噴火に大きく関係しているのだ。
ガソリンの注入が終わり、僕はGSの中年の従業員に訊ねた。
「すみません。この辺りに伊奈神社ってありませんか?」
「伊奈神社?いやぁ、浅間神社はすぐそこだけど、伊奈神社…聞いたことないですねぇ」
僕は肩を落とした。コンビニの従業員も、みな知らないと首を傾げていた。
僕の古いガラケーでは町名以下の番地表示は出ていないし、
カーナビにも、そんな神社は掲載されていない。
僕は途方に暮れた。
もっと詳細に調べてくるべきだった。
ここは、静岡県駿東郡小山町。御殿場市に境を接する富士山の裾野の町だ。
先月初めのある日、僕はある故人の足跡を訪ねてこの町をさ迷っていたのだ。
その人の名は、伊奈半左衛門忠順。
僕の中では、杉原千畝に並ぶ揺るぎない偉人の一人だ。
偉人と一言で言ってもその基準は人それぞれだろうが、
僕の中の偉人は、偉大な成功を収めた人でも、
ましてや、戦乱を勝ち抜いた勝者でもない。
それどころか、彼らは体制からはみ出した人間であったり、
多くは悲運の反逆者だったりする。
なぜ僕は、そんな彼らの生き様に共感するのか?
それは、僕の心の奥底に潜んでいる【破滅願望】を刺激するからなのだろう。
人の世界は今も昔も激しい競争社会で、それを上り詰めるには、
目を瞑って、非道にも手を染めなければならない場合もあるのだろう。
でも、本当に良識のある人間は、立場や損得だけで己の意に沿わぬ方向へ動けるものなのだろうか?
彼らは、まともな人間であるが故に出世の王道を外れ、谷底へ転げ落ちてしまうのだ。
伊奈半左衛門忠順。
彼はまさにその典型的な人間だった。
★☆★
東日本大震災の記憶が未だ生々しい中、
更に日本に今世紀最大の被害をもたらすと恐れられている「南海トラフ地震」
宝永四年(1707年)10月4日に日本列島を襲った宝永地震も、その南海トラフ型地震だった。
それは、東海地震、東南海地震、南海地震が連鎖的に同時に発生し、
その規模は日本最大級の巨大地震だったと推測されている。
被害は関東以南、東海から四国九州、更には海を渡って中国沿岸までに達した。
だが、それだけでは収まらなかったのだ。
余震が続く49日後の11月23日、富士山の大噴火が始まったのだ。
不気味な地鳴りが続く中、富士山は須走側山麓の六号目辺り辺りから、大量の白煙を噴き始めた。
江戸の昼間から太陽光を奪った宝永大噴火の始まりだった。
-続-
コメント
2017/08/03 6:48
4. >>3 Kou+さん
おはようございます
伊奈忠順。かなり気になっていた人なので、
足跡を訪ねて先月、一泊で行ってきました。
返コメ
2017/08/03 6:45
3. おはようございます♪
今回は、
歴史に寄り添う物語ですね。
(*´-`)
返コメ
2017/08/03 6:38
2. >>1 サンタさん
おはようございます
なんかね、こんな真面目な話を書くのは殆ど初めてなんで、緊張していますよ。
そんな中にも一輪の花!って感じですかね。
返コメ
2017/08/03 6:34
1. ツブさんおはようございます(^o^)新たな出逢いですか次回楽しみにしてます(*^^*)
返コメ