中国語通訳女性と僕のあり得ない関係!…紅い蛍①
60代前半  東京都
2017/12/26 6:31
中国語通訳女性と僕のあり得ない関係!…紅い蛍①
これから書く話は、二〇〇〇年の夏に僕がふとした思い付きから中国東北部を放浪していた時の話だ。

旅の目的は、終戦の年にこの地で亡くなった姉の供養だった…

とは言っても姉の墓はそこにはない。

僕は黄褐色に変色したただ一枚の写真でしか姉を知らない。


先の二〇世紀の日本と中国、この二国の争いに翻弄された両国の人々。

当時二歳だった美しい顔立ちの姉は、それが撮影された僅か半年後に異郷の地で煙になってしまったのだ。


戦後、見せかけの和解は果たしたものの、日本にとって中国は近くて遠い国だ。さらに当時の東北部には、まだ根強い反日感情が残っていた。

それに拍車をかけたのが、戦後の中国を揺るがした文化大革命と言う共産原理主義の台頭だった。

その狂気な暴走は、更なる反日感情を煽り二国の距離を遠ざけた。


新しい世紀を迎えて、僕は大切な肉親を巻き込んだそんな時代の舞台となった旧満州の地に足を踏み入れる決断をした。


きっと、何か見えない力に引き寄せられたのだろう。

でも、そこで僕が見たものは、時代に取り残され忘れ去られた日本人達だった。



中国に滞在中、僕の手引きを務めてくれたのは【林栄欄】と言う美しく聡明な大学院生だった。

松花江(ソンフォアジャン)と言う大河の流れに沿って展開する【紅い蛍】は、そんな人々が生き延びてきた証しと奇跡の再会の話だ。



でも、僕が書く話だから、残酷でおどろおどろしい場面は殆どありません。

話が進むに連れて、僕と林栄欄の間には何度か感情の対立が生まれます。
喧嘩や和解を繰り返しながら、僕と栄欄は次第に恋仲に堕ちて行きます。


そんな中、驚くへき栄欄の素性と過去が明らかになって行きます。
 





誰もが死んだと思っていた僕の姉カヨ子が実は……

ちょっとしたミステリー仕立てです。


全文はとても長いので、
ところどころ抜粋してご紹介しますね。



それでは、四日目のハルピンのシーンです。



     ★☆★


寝返りを打った栄蘭の髪が唇に触れて、僕はひどい悪夢から目覚めた。

大気は重い生薬の香りをどこかに秘めていて、

僕は周囲を見渡すまでもなく、ここが異国であることを思い知った。


塗装が禿げかかったスチームヒーターが呻きながら赤絨毯に熱気をまき散らしていた。

ダブルベッドのコンソールに埋め込まれたアナログ時計の針は、午後八時を少し回っていた。


「栄蘭!」驚いて呼びかけてみた。

すると大きな黒目がぬっと近づいてきて、たっぷり湿気を含んだ彼女の毛先が僕の裸の肩に触れた。

僕は大きく身震いをしてシーツを首まで手繰り寄せた。

「ヒーターを止めてくれないか?」

哈爾濱(ハルピン)の気温は、沈む陽を追うように深々と落ちてゆく。

腕には鳥肌が立っているのに、僕の額には汗が粟粒のように浮いていた。


「どうしました?布団蹴って肩出して寝てるはいけませんね。風邪引いたら大変です」


栄蘭は、ヒーターを止め小さく畳んだハンカチで僕の額の汗を拭った。


「またあの夢ですか?」

栄蘭は不満そうに唇を尖らせた。


額に当てられた栄蘭の手を振り払って、僕は乱れた息を整えた。


「栄蘭、いつこの部屋に入った?」


部屋の片隅にあるドレッサーの上に、ドライヤーとヘアブラシが投げ出してあった。


「風呂に入ったのか?」

「私の部屋でシャワーしました。でも、ドライヤー壊れていたから..」


「それで、こっちの部屋にきたのか?」

栄蘭は少し不機嫌そうに唇を尖らせて、そっぽを向いた。


「あきれたヤツだな。キミと通訳の契約をした時、条件があったね。覚えているか?」


「覚えているわ。宿泊するホテルでは、二人は別の階か叉は三つ以上離れた部屋に泊まる…」


「それは何故だ?」


「日本人は皆オオカミ。優しい顔をして、いつも恐いことを考えている。そして、ナマ物食べるから精力大きい」


「そうだ。それが分かってて何故ここにいる?」


「あなたはオオカミではありません。三日間あなたと一緒にいて、私、判断しました」


僕は苦笑いと共に大きなため息を吐いて、栄欄を見つめた。


切れ長な目は、少し開き気味だけれど、

鼻筋が通り、顎がツンと尖った栄欄は、一七〇近い大柄な美人だ。


「判断しました!って、その判断が間違いだったらどうするの?」


「間違えた私が罰を受けるのです」


少し怖じ気づいたのか、栄欄は三〇センチほど僕から上半身を遠ざけた。

でも、目はしっかり開いて僕を睨みつけている。


「栄欄…」


「由宇…吉林では祖母の家に泊まりました。でもハルビン私良く知りません。私の部屋、静か過ぎて怖くて一人で眠れません」


「栄欄、ここはね日本オオカミの檻だよ。どっちが怖いか良く考えてごらん」


「日本オオカミ、絶滅したって聞きました」


僕は笑ってしまい、栄欄の顎を軽く掴んだ。


「絶滅した?ここに元気な生き残りが一匹いる」


言葉で栄欄を脅かしながら、僕はあることを思い出して真っ青になった。







       -続-



これは17年前、僕が中国放浪旅の後に書いたマジメな話で官能物ではありません。

でも、その中からちょっとエロいシーンを抜粋してみました。


続けるか続けないか…今ちょっと迷っています。




コメントする

コメント

60代前半  東京都

2017/12/26 8:48

8.  >>7 銀毛狐 …真野の草原遠けども面影にして見ゆといふものを…さん

僕の父も会社から満州へ転勤を命ぜられ終戦を迎えました。

父はロシアへ抑留され、母は長い逃避行の中で肺炎を患った姉を亡くしました。

父も母もその頃の事を多くは語りません。辛かったと思います。

僕が中国に渡ったのは、知らないで済まされない思いもあったからです。

2017/12/26 8:24

7. お疲れさまだす<(_ _)>
あっしの母方の祖父は農林省の役人で当時国策推進の為開拓民の方々と共に家族と満州で暮らしていたので私の母親も満州からのひきあげを経験してます…戦争そのものはどんなものであれ悪でしかあり得ませんがそこに息づく人達は兵隊であれ民間人であれ血の通った人間である事になんの違いもない思てます(ΦΦ)

60代前半  東京都

2017/12/26 7:36

6.  >>5 キャップ閉め忘れた干からびマジックさん

おはよう[晴れ]そちらは大雪だそうですね。気をつけて下さい。

はい、全文は無理なんで、うまく書き繋いでいきますね。

50代半ば  宮城県

2017/12/26 7:27

5. おはようございます。

続けましょう!

良いです。期待!

60代前半  東京都

2017/12/26 7:17

4.  >>3 サンタさん

おはようございます[晴れ]

これは、本来シリアスな話なんですが、

魅力的な女が出てくると、ついつい書きすぎてしまう僕の悪いクセが良く出ていますね[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]

60代半ば  山口県

2017/12/26 7:06

3. ツブさんおはようございます(*^^*)いろんな経験してますね~
続編楽しみです(^^)

60代前半  東京都

2017/12/26 6:51

2.  >>1 クロコダイル・ダンディ・ケンジさん

この話を書いたのは、17年前です。話の中の僕は40台前半で、

姉とは18も年が離れているんですよ。

ま、そこら辺はサラッと(笑)

2017/12/26 6:45

1. 
ツブさんの実姉!?

って事はツブさんの実年齢は(゜ロ゜;ノ)ノ

…━…━…━…

無料会員登録はコチラ

…━…━…━…