訳ありの二人。キスが終わると…紅い蛍⑦
「私は中国人じゃないわ!」
栄欄は、天井の一点をみつめたままつぶやいた。
「こんなこと、あなたにしか言えないけれど…」
振り向いた栄欄の両目から涙がふた筋、スーッと溢れ落ちた。
僕は少し強引に栄欄を抱き寄せ、そのまま抱きしめた。
「栄欄、キミがずっと栄欄なら、僕はキミが中国人だろうが日本人だろうが大きな問題じゃない」
「そうよね。あなたに取ってはどうでも良いことね」
腕の中の栄欄は、ふと力が抜けたように僕から目をそらせた。
その首筋にキスをすると、栄欄はくすぐったいと無表情で身を捩った。
栄欄は、まだまだ話し足りないらしい。
僕にしてみれば、今腕の中で息づいている丸裸の栄欄の方が、ずっと切迫した問題だったのだが、
今、彼女の口を塞いで二度目を強行するのは得策ではない気がした。
「二十三年間、誰にも言えなかった事があるんだね」
セミダブルベッドは、栄欄を解き放すと少し窮屈だった。
肩を触れ合い、互いの瞳を見つめ合いながら、栄欄は話し続けた。
「母には何でも話せたわ。でも三年前、その母が亡くなったの。まだ五十代だったのよ」
「お母さんは日本人残留孤児だったんだね」
「文化大革命の十年間、ずっと命の危険に晒された人って、とても長生きなんかできないわ」
「ねえ」
栄蘭の細い指が僕の肩先に触れた。
「由宇のお姉さんのカヨコさんって、どんな人だったの?もし生きていたら私の亡くなった母と同じ歳だったのね」
「そうなのか?」
目が合うと、彼女は無言でうなずいた。
「だって、一九四三年生まれなんでしょ。由宇とは一八も歳が離れているんですね」
「多分、両親はカヨコを失くしたショックで、もう子供はいらないと思ったんじゃないかな?」
「でも良かった。あなたのご両親に『謝謝』だわ。由宇に会わせて下さったんだから」
「栄欄…」
「なぁに?」
「もう一度抱きたい」
「ええっ、そんなに何度も出来るものなの?」
「オオカミだからな!」
「私、オオカミの彼女になっちゃったの?」
「そうだよ。かわいそうな栄欄…」
僕は笑いながら栄欄を組み伏せ、その小ぶりな右胸を掴み、左の乳首に吸い付いた。
「由宇、我慢して私のおしゃべりに付き合ってくれてたのね。ごめんなさい」
「いや、明後日…吉林に戻ってから、もっと聞かせてくれ」
長いキスの途中に、栄欄はするすると右膝を立て、
キスを終えると、左膝も立て開いた。
-続-
戦争と言う大罪。
文革(文化大革命)と言う中国十年間の狂気。
その大波に飲み込まれた人達。生き延びた人達。
そして、時代や世代を経て巡り合ったひと組の男と女。
まるで、原本と違ってきました。
自己満の世界ですが、もう少しお付き合い下さいね。
コメント
2018/01/09 23:31
27. >>26 海斗さん
中国は人口おそらく14億。地球の半数に迫る人口。
アメリカと日本合わせても、中国の1/4だよ。
5年経ったら、国際発言力は反転するだろうね。
我々も、今からそういう時代を見据えてかからないと怪我をするでしょうね。
返コメ
2018/01/09 23:17
26. >>25 ツブ猫
さん
ある程度の強権支配をしないと多民族国家は、納められない。
第二の中東を避けるためには、やむを得ないと僕も思います。
しかし強権すぎるとアメリカに代わり、世界を圧巻してくるのも困りものです。
何事もバランスを保つことが平穏かもです。
返コメ
2018/01/09 22:57
25. 続き…
中国は中東に次ぐ世界の火薬庫です。
支配被支配を繰り返してきた56の民族が民主化と共に自らを主張し始めたら、確実に内戦が勃発しますね。
内戦は飛び火し、第三次世界戦に発展しかねません。
人民解放軍が分裂したら?恐ろしいですね。
つまり、ある程度の強権支配は、残念ながら今の中国には不可欠なんです。
僕はそう思いますね。
返コメ
2018/01/09 22:54
24. >>23 海斗さん
毛沢東は自分を神聖化し更に権力を巨大化する手段として、学生達をそそのかし「文革」を発進させました。
指導者が間違ったカジを切ると、容易に扇動される例は、戦争に突き進んだ旧日本もそうだし、今の北朝鮮もそうです。
じゃあ、中国を民主化し共産党の独裁を 止めればいい?
西側の人間は安易にそんな事を言うが、それはあまりにも幼稚で無責任な言動です。
返コメ
2018/01/09 22:10
23.
今度の日記は、中国の歴史や政治体制に詳しくないと書けないものとなってる。
習近平が毛沢東化してきてるといわれる。
これからの中国は、独裁政治へと走るのか!?
返コメ
2018/01/09 21:59
22. >>21 フッキーさん
ブッキー、わかるけどさ‥
「痛てーんだよ!二度目だ?ふざけんな!」(`ヘ´)
じゃ、話にならねーし(笑)
栄欄の話の裏付けがだんだん取れてきて、謎も解けて来て、次第に衝撃の事実が… てな流れかな?
返コメ
2018/01/09 21:28
21. 栄欄の話の内容が、読みたかったようなぁ~(ρ°∩°)
一回目、痛かったら、うちは、したくなか~(笑)
気持ち良ければ、何度も行けるバイ
(*≧艸≦)グハッ!
返コメ
2018/01/09 19:50
20. >>19 Soraさん
なんか前半省略してバラバラにしたら、おかしくなって、結局書き直してるよ
中国に詳しいのは、出来の悪い留学生の修士論文半分書いてやったから(笑)
返コメ
2018/01/09 19:34
19.
こんばんは。
パパって、戦後の中国にとても詳しくてびっくり!
この小説?凄く本格的ですね。恋愛シーンばかり抜粋してるみたいだけど、全部読んでみたいな。
返コメ
2018/01/09 18:24
18. >>17 まーさん
![[バッド(下向き矢印)]](https://img.550909.com/emoji/ic_bad.gif)
天安門事件や文革は中国の歴史からかき消され、 全く知らない若者が多いらしいですね。
文革は1968~78年、文化財や有識者、教職者、支配階級がこの10年で粛清され、中国は世界から酷い遅れをとります。
怖いのは、密告が称えられ、美人が風紀を乱すと殺されたことです。
四人組が捕まり、文革が終焉した後は、真逆の拝金主義ですからね
ヒロインの栄欄が母国に見切りをつけるわけです。
返コメ