えっ、栄蘭と令姐は双子?紅い蛍…No.22
ハルピンから吉林までは特急列車で約五時間半の旅だ。
市街を抜けると、道中には観光名所があるわけでもなく山も見えない。
車窓に映るのは海のような東北大平原と、それを空から切り取る果てしない地平線だけだ。
栄蘭は気丈にも目を開けてはいるが、焦点は虚ろで、
時々ガックリと眠りに落ちる。
朝、チェックアウトの前に栄蘭を抱いたのは、この先しばらく彼女と二人きりになれる時間が読めなかったからだ。
東関賓館の館長は令姐の父親で、さらに勘の鋭い令姐が受付にいる。
栄蘭もそれを承知で、無理に早起きして僕に応えてくれたのだ。
体が慣れ合ってくると、物言いの垣根も低くなる。
正午が近くなり、目を覚ました栄蘭は僕にぶつぶつと小言を言い始めた。
河灯(精霊流し)のリベンジに、僕がカヨコの為に作らせた舟が高価過ぎると言うのだ。
「暖かい服と靴下、赤い靴、米と甘いお菓子、絵本とクレヨンでしょ。
それに木彫りのお人形、これだけ乗せても沈没しない舟ですよ!」
五日前、注文する時は何も言わなかった栄蘭だけれど、
僕との関係が激しく変わった今となると、打って変わって僕を責め立てた。
「六五十人民元て分かりますか?工場勤めの人なら二か月分の給料ですよ!たかが流してしまうおもちゃの舟にどれだけなの?
金銭感覚直して下さいね!」
「頼んだ時は何も言わなかったじゃないか?」
「あ、あの時の由宇と私は他人でしたから…」
女はしっかり者の方が良いとは言え、僕は栄蘭の変わり様に思わず苦笑してしまった。
「それより、令姐とお婆ちゃんにオレ達のことをいつ話す?」
「それは…」
話題を変えると栄蘭は少し言葉に詰まった。
あなたが日本に帰った後です。でも…令姐が…」
「令姐がどうした?」
「あの子はとても霊感が強いのです。あなたと私のこと、隠し通すのは無理だと思う」
令姐…
すべての始まりは令姐からだった。
度重なる反日感情に嫌気が差し帰国を模索していた僕に、
栄蘭を引き会わせてくれた優しい女。
でも、今となると謎の多い女だった。
令姐からは、従姉妹だと紹介された栄蘭。
その時は聞き流したけれど、僕の中には大きな疑問が残っていた。
令姐と栄蘭…
化粧や髪型、服装を変えても、僕には二人のDNAは全く同一にしか見えなかった。
おそらく二人は双子なのだろう。
でも何故、二人は従姉妹だと言い張るのだろう?
でも僕は、それ以上の詮索はしなかった。
過度な詮索は、すべてを無に帰すような予感があったからだ。
でも、その疑問は、図らずもそれから数日後に解けることになった。
吉林の東関賓館に注文していた舟と人形が届いたのは、その日の夜だった。
-続-
前半に、かなり原文を削除圧縮して投稿していたので、
説明を加えながら、後半を編集していきますね。
栄蘭と令姐。二人の存在の秘密が次回以降、次第に明らかになって行きます。
コメント
2018/03/16 14:39
4. >>3 *あゆふわりん*さん
こんにちは。暖かくなってきたね。旦那さんと仲良くしてる?
着地点か。元の話ではきれいに着地しているんだけど、
少し変えてみようかな…なんて思ってる。
返コメ
2018/03/16 10:55
3. 何処にどんな風に着地するのかなぁ。
続きを待っていますね。
返コメ
2018/03/16 9:01
2. >>1 クロコダイル・ダンディ・ケンジさん
おはよう
もう少し、色んなからくりがありますね。
でも、そんなに緻密な話ではありません。
返コメ
2018/03/16 6:17
1.
瓜二つってのは前記の文面で読み取れてましたけどまさかの双子!!(゜ロ゜ノ)ノ
まだまだ先に波乱万丈が起きそうな雲行きです(((・・;)
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