★松花江の夕陽★紅い蛍…No.25
60代前半  東京都
2018/03/25 10:56
★松花江の夕陽★紅い蛍…No.25
「あなたは誰?いったい誰なの?」

まるで恐ろしいものでも見るように怯え、栄蘭は振り返りもせずに僕から去って行った。

誰って?僕は僕でそれ以上でも以下でもない。


昨日のこの時間、ハルピンで僕に抱きついていたのは誰?

あの二人の蜜月って何だったんだ?

この人形が一体どうしたと言うんだ?




僕はソファーに投げ出された舞妓人形を拾い上げ握りしめた。


一瞬、ダストシュートに投げ入れようかと思ったが思いとどまった。


この人形は、カヨコ姉さんの形見のようなもの?

いや、僕の中ではただ一つの形見そのものなのだ。




対岸の夕日が川面を朱色に染めながら、ゆっくりと落ちて行く。


無数のさざ波達が、きらめきながら列をなし、小魚のように跳ねている。


それは、あの河灯の夜の灯籠の群れに良く似ていた。


ここで亡くなった姉カヨコは、最期にどんな風景を見たのだろう?



僕は気を取り直して、絵の具を引き寄せ、絵筆を手に取った。



絵の具を絞り三色を混ぜ合わせると、だいだい色の着物の色に近くなった。

水色の襦袢、帯の黒と、僕はパレットにそれぞれの色を作った。


集中して塗り始めると、 この二週間ほとの出来事や、栄蘭との会話が鮮明に思い出された。


謎を解くには、幾つかの仮説を立ててみるのが常道だ。


栄蘭と令姐が双子だとしたら、令姐の母も日本人だと言うことだ。


令姐の霊感は、おそらく二人別々に育った過程で研ぎ澄まされたのだろう。

良く双子の間ではテレパシーが働くって言うけれど本当なんだろうか?


とにかく、二人が双子であることを隠すのは、彼女達の出生時にそうしなければならない訳があったのだろう。


彼女達が生まれた年は、文化大革命(文革)が佳境に入っていた頃だ。


時代が問題なのか?

分からない。


そんなことよりも、もっともっと根元に大きな何かが隠れていそうな気がした。


栄欄は、この人形をどこで見たのだろう?

まさか!

僕はふと思いついたことを慌てて否定した。
そんな事があるはずもない。


僕も栄欄も、もっともっと冷静にならなければならない。






       -続-







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コメント

60代後半  鹿児島県

2018/03/25 11:44

2. 今後の展開を予想すると楽しみです。頑張って下さい。

70代以上  埼玉県

2018/03/25 11:41

1. こんにちわ。
桜咲く春は暖かそうだけど、実は
寒い!

核心に近い気配すれど、またまた
の続! 続きは出来てるのでしょ
う!? 待ってます。

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