白いアシカ②【ワク女から急に生を迫られたら?】
「男湯に泳いで渡る三十女なんて、ほんと前代未聞よね。なんであんなバカなことしたんだろう」
真鶴や小田原港に上がったばかりだと言う新鮮な地魚に歓声を上げていたのに、最近の亜衣は、前触れもなくいきなりブルーになる。
フカ鰭の茶碗蒸しのスプーンをそっと置くと、目を伏せて沈み込んでしまった。
「落ち込む話じゃないだろ。ずぶ濡れの亜衣がお湯の中から現れた時、オレは一瞬天女か!と思って全身が硬直したよ」
「アシカが天女に?短い間にずいぶんな出世ね」
「こら、突っかかんな。オレはあんなに華麗でサプライズなショーは生まれて初めてだったよ」
「大げさね(笑)私は思い出しただけで顔から火が出そう。もし誰かに見られたら、とっても生きていけないわ」
「亜衣、どうしたんだ?今日はちょっとおかしいよ。」
「うん、ちょっと疲れているのかも…」
職場で何かあったな?直感でそう感じたけれど、僕は口には出さなかった。
亜衣と僕は知り合って三年になる。彼女が酒乱DVの前夫から逃げ伸び、やっと離婚が成立したのが二年前だ。
ストーカー化した亜衣の前夫から彼女を匿い、法的にも離婚をサポートしたのは、正義感だけではない。
正直なところ、その頃の僕は夜な夜な亜衣に襲いかかる夢ばかり見ていたのだ。
離婚成立から数日後のある日、彼女の開放感に乗じて僕は策略を巡らせ、実に二年越しで亜衣を落とした。
でも、彼女の奥底に住み着いた男への恐怖心、不信感を解くのには、二年ではまだ足りなかったのかも知れない。
★☆★
「さっき、お風呂でトンボのカップル見たでしょ」
「ああ…」
僕は気のない返事をしながら亜衣を手元に引き寄せた。
「由宇が繁殖の仕組みを教えてくれたわよね。
あの話聞いてね、私もトンボになりたくなった」
亜衣は細身だが174と背丈が僕とほとんど変わらないので、抱き寄せると十分な手応えだ。
「トンボのメスは男を渡り歩くドライな悪女。亜衣とはタイプが違うな」
キスには応えて、潤い始めるくせに、今日の亜衣はどこか虚ろでなかなか流れに乗ってくれない。
「トンボじゃなくても、私だって悪巧みくらいはするわ」
浴衣の女を腕枕に引き寄せ、帯も解かずに虫の交尾の話じゃ悲しすぎる。
「悪巧み?何だそれ?」
「女って怖いのよ」
僕は上半身を起こし、唇を軽く触れ合いながら、
浴衣の上から亜衣の左胸に手を乗せた。
手のひらの真ん中に乳首を合わせてそのまま少し強く掴んだ。
あと半サイズ増えれば完璧かな…と思いながら口には出さない。
「亜衣、ところで2キロ増えたって?どこに肉がついたんだ?」
「さっきも聞いた。忘れたの(笑)」
亜衣は浴衣の下には下着を着けないので、襟元から紅色の左乳首が見え隠れしている。
吸い付きたい衝動に襲われながらも、僕はまだ帯には手を掛けず痩せ我慢をしていた。
「少し筋肉がついたのか?」
代わりに、浴衣の肩口から手を入れ肘の辺りを掴むと、左手の力こぶの辺りが以前より膨らみ固くなっていた。
「筋トレでもしたんか」
「まさか」
亜衣はふっと笑って続けた。
「可奈ちゃんがね、産休に入ったから力仕事がめっちゃ増えたのよ」
浴衣は着崩れ、二つの乳首は一瞬露わになってしまったが、亜衣は片腕を寝かせて魅惑的な二つの蕾を隠してしまった。
「可奈ちゃんて、確か血液センターの技師と別れた子?別れても元彼の子は産むんだね」
「そう、私たちって毎日命と向き合っているでしょ。自分の体に宿った命を棄てるなんて選択肢は私たちには有り得ないのよ。
男かなんていらないけど子供は守り抜くんだって。強いわね、あの子」
着崩れた浴衣を直して帯を解き、改めて包みを開くと、亜衣は諦めたのか全てを全開の照明の下にさらした。
湯の中では白いアシカに見えた肢体だけれど、今は性能の良いサイボーグにも見える。
胸や腰回りは小作りなくせに、手足が長いので全体はやはり大きい。
でも、アシカでもサイボーグでもない証に、亜衣はフワフワとした茂みの下に、僕がすっかり収まる熱い器官を隠し持っている。
二年前、初めて亜衣を抱いた時も、一つになる直前まで彼女は脚を開かなかった。
凝視されるのはイヤだと言って、それは今でも続いている。
亜衣への愛撫は、いつものように、髪から耳、鼻の頭、唇でしばらく止まり、脇から乳首にたどり着いてたっぷり時間をかける。
僕の舌は、それより下へはなかなかたどり着けない。
亜衣がすすり泣き、僕を握りしめると「挿れて」のサインだ。
その日も、トロトロに溶けた亜衣がようやく脚を開くまではいつもの流れだった。
立てた両膝を開き、ゴムに手を伸ばしたその時、
亜衣は僕の手首を強く掴んだ。
「由宇、私はいつだって生身よ。だから由宇もナマできて!ごまかしはイヤなの」」
―続―
いつものノリノリと違って、少し様子がおかしい亜衣…
さて、喉元に剣先を突きつけられた由宇はどうする?
コメント
2018/10/08 8:41
8. つぶねこさん( ^ω^ )
おはようございます(*´∇`*)
Σ(・ω・ノ)ノ なまでって うれしい悲鳴と
あとには引けなくなる 選択の
運命の分かれ道 ((( ;゚Д゚)))
俺 この台詞 現実で
一人の女性に言われたよん(’-’*)♪
すごくうれしい言葉でしたね♪
生がでなく その気持ちがね♪♪
返コメ
2018/10/08 8:16
7. パパさん、おはようございます(*´ω`*)
朗読会で使わせて頂きます!ww
返コメ
2018/10/08 8:08
6. >>5 YADA子さん
おはよう!
「遠い目」って何よ?なんか気になるな(笑)
好きな女に体張って迫られたら、男にはまず勝ち目はないね。腹決めるしかない。
返コメ
2018/10/08 7:54
5. わっ、亜衣さん勝負に出たわね。
だいたい男に流されてしまうんだけど、自分からナマ要求って凄い!
でも、そんな時ってデキないのよね←(遠い目)
返コメ
2018/10/08 7:12
4. >>2 きらさん
おはようございます。
僕とかきらさん世代の恋バナですよ。
亜衣も多忙な社会人。微妙なお年頃です。
女って可愛く男より賢く、そしてとても怖い存在です。
返コメ
2018/10/08 7:02
3. >>1 かよさん
おはよう。
今度のヒロインは前回の美奈とはまるで逆な女性です。
男女の心の性差を書いてみたくなったんですが…どうなることか(笑)
かよさん色々大変でしたね。焦らず安静にお過ごし下さい。
返コメ
2018/10/08 7:00
2. 今度の物語も、ワクワク楽しみにしでます!
どんな展開が待ってるのか!!
返コメ
2018/10/08 6:20
1. おはようございます。
今度の物語のヒロインは
どんな女性で、どんな表情を見せてくれるの
でしょう?「悪巧みをするのよ。」という意味深な
言葉は、これからの二人の関係を示唆している
ようで、わくわくします。続きが楽しみです。
返コメ