白いアシカ③【ナマの代償】
60代前半  東京都
2018/10/14 5:33
白いアシカ③【ナマの代償】
「ごまかさないで!私はいつだって生身。だから由宇もナマで来て!」

「ナマって…本気か?」

亜衣は大きく頷いて、僕からふと目を逸らした。

思わぬ不意打ちを食らったけれど、好きな女にそこまで迫られたら逃げる道はもうない。

「本当に中に射つぞ。いいんだな?」

亜衣はコクリと頷いた。

「よし、わかった。一滴も残さずしっかり受け止めろよ」

「ありがとう。由宇に逃げられたらどうしようって思ってたの」

「失礼なヤツだな」

僕は少し乱暴に亜衣の顎を掴んで睨みつけ、笑いながら軽く唇を合わせた。

「ごめんね。由宇」

亜衣は僕の胸に額を預けて、少し涙ぐんでいる。

ナマ?亜衣の突然の心境の変化って何なんだ?
僕は脳天気に彼女の重大な何かを見落としていたのだろうか?


生身で亜衣と交わるのは二年前、彼女の家で初めて彼女を抱いた時…それ以来だった。

生涯、誰とも結婚はしないと明言していた亜衣に
どんな心境の変化があったのだろう?
でも、そんなことは今さらどうでもいい。

僕は限りなく優しい気持になって、亜衣の背に腕を回し抱き寄せた。
舌を絡め合いながら、僕の反り立った先端は難なく亜衣の源泉を探し当てた。

無粋な防具に邪魔されないと、亜衣の潤いや体温や息づかいまでもが僕の芯に語りかけてくる。

亜衣が腰を少し浮かせたので、僕の先端はいきなり熱い粘膜の中程まで吸い込まれてしまった。

「あっ!」亜衣が小さく叫んで目を見開いた。

頷き返して、僕は亜衣の中で跳ね始めた。浅く往復させたり、抜いては再び扉をくぐったり。

亜衣の粘膜は蜘蛛の糸。包まれているのは、僕の体のほんの一部なのに、全身が粘膜の海の中に絡め取られて行くようだ。
すっかり忘れていた生身の感覚がよみがえり、僕はち切れそうに硬くなった。

「ねぇ、もっと奥…」

「だめだ。すぐイきそうだ」

「いいのよ、我慢しちゃだめ!」


僕は半ば諦めて、亜衣の奥深くに突き立てた。
亜衣の声が1オクターブ跳ね上がる。

優しさに溢れた道半ばには、子宮口の盛り上がりがある。
射つ時はその辺りを狙って射ち放とう。本能が僕にそう語りかける。

亜衣は両膝を抱えて、さらに奥へと僕を誘う。
それならと思い切り奥を突くと亜衣は悲鳴を上げた。

「ごめん、痛かった?」

「ううん、大丈夫」

口を歪めながらも、亜衣は僕に微笑んで見せた。

よし、孕ませてやる!
後先も考えずに本気で思ったのはその時だった。


亜衣は先月32になった。付き合い始めて四年。体の関係ができてからも二年経った。

離婚直後はひどい男性恐怖症だったので、初めの頃は腫れ物に触るように慎重に扱ってきた。
すっかり慣れてきた今だってかなり気を使っている。

それが、なぜ今になってナマ?
僕の子を産みたいでも言うのか?それとも、僕を引き止めたいだけなのか?

まさに今、亜衣を貫いているのは凶器化した僕の角だけれど、
亜衣だって体を張って、僕の喉元にナイフを突きつけている。

「心配するな。オレは何があってもお前から逃げたりはしない」

小声でつぶやくと、亜衣が薄目を開けて一瞬僕を見つめた。
その細い両肩を押さえつけ、深い抜き差しを繰り返しながら、僕は次第に満ちてくる。

亜衣の泣き声が一瞬止み、僕の両肩に掛かった長い脚が大きく宙を泳いだ。汗がひたひたと亜衣の首筋に滴り落ちる。


「イっく!」

亜衣はそう叫ぶと、上半身を大きく泳がせ、僕の腕を跳ねのけた。
僕はそんな亜衣の腰骨を強く引き寄せて、最後の二突きを彼女の深海にねじ込んだ。

迫り上がる痙攣に身をまかせると、第一波が力強く亜衣の胎内に射ち放たれた。
余震は第六波まで続き、溢れるほどに亜衣の中を埋め尽くしていった。



      ★☆★


「由宇、凄かった…」

放心状態から薄目を開けて、亜衣がつぶやいた。

「亜衣、お前何か企んでるな?」

亜衣は僕に向き直ると、不敵に微笑んで見せた。

「ピルとか飲んでると思った?残念ね、私はいつだって無防備よ」

僕はふっとため息を吐いて苦笑した。

「だったら、今の一撃できっと出来るぞ」

「そう?だったらいいな」

亜衣は腰の下にバスタオルを引いて、乱れた髪を手で漉いている。

「いいな…ってお前」

僕は、亜衣のなだらかな腰骨の辺りを撫でながら、
何だか可笑しくなって、笑ってしまった。



その時、窓際に放置していたキリギリスのカゴから、オスの鳴き声が聞こえた。声は弱々しく掠れていた。

「かわいそう。お腹すかしてるんじゃない?」

「大丈夫、さっきレタスをいっぱい食べさせた」


去年の卵から孵化させた200匹のキリギリス達も、彼岸が過ぎて最後のカップルになってしまった。
僕は窓際から二匹が入ったカゴを枕元まで運んで亜衣に見せた。

「なんか色も黒ずんできちゃったね、この二人。メスはもう卵産んだのかな?」

「ああ、先週土の入ったケースに必死に産んでいた」

「ほんと、けなげよね。この子たちって。人間って、どうしてこんなにややこしいんだろ…」

亜衣は小声でそうつぶやきながら、ずいぶん長い時間、老いたキリギリスの夫婦を眺めていた。



二度目を誘うと、亜依は初めて僕を拒んだ。

「明日、早起きしてこの子たちを野原に帰した後でね」

そう言うなり、亜衣は僕に背を向けて寝息を立て始めた。





亜衣の悪企み…

その驚くべき全貌が明らかになったのは、
それからひと月後のことだった。




        ―続―


お前は魔女?{{{{(+_+)}}}}
女って、怖いですね。
何を考えているのか…

そうなんですよ。
僕のように単細胞精子脳男には
まったく見当すらつきません。

亜衣の悪企みって一体何なんでしょう?





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コメント

60代前半  東京都

2018/10/14 7:19

2.  >>1 きらさん

きらさん、おはようございます。僕と住みも近そうですね。

ご愛読ありがとうございます。
次回は、意外な展開が待っています。

60代前半  東京都

2018/10/14 6:45

1. ん~んっ!
次回が待ち遠しいです。
はまってます!

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