えっ!大切な彼女が風俗の面接に‥【落選小説①】
60代前半  東京都
2015/06/10 7:31
えっ!大切な彼女が風俗の面接に‥【落選小説①】
【それまでのあらすじ】


一通のサイトメールから、家出した人妻明日香を家に泊める事になってしまった由宇。


ところが、彼女の華奢な体には、夫からの度重なるDVによる、痣やミミズ腫れが無数にあった。



そんな明日香に誘われても、手を出せない由宇。



そんな奇妙な同棲生活が十日ほど続き、明日香の傷も癒えてきたある日、



彼女は突然、由宇の元から姿をくらませた。



夫の捜索の手が伸びてきたらしい。



一切の連絡手段が途絶え、行き先の手がかりを必死に探す由宇は、



台所の生ゴミの中から、走り書きされた小さな電話番号メモを発見する。



その番号にダイヤルすると、電話は風俗店の募集係に繋がった。



落胆した由宇。しかし彼は、冷蔵庫の中からある物を発見して、目が覚めた。



「急がなければ!」



由宇は、もう一度明日香を救い出しに、秋葉原に車を走らせる。




落選小説【むぎわらとんぼ】より‥





     ★☆★





夫が捜索願い出したからどうだって言うんだ。そんなに慌てることなのか?


由宇はいろいろ考えを巡らせた。


成人した女の家出や行方不明に、警察って果たして本気で動くのだろうか?


自分に都合の悪いことは全部伏せて、うそでも女房に命の危険が迫っているとでも訴えれば、警察は仕方なく動き出すかもしれない。



明日香がサイトに参加していることがバレているなら、サイトメールのやり取りを警察が開示させることもありえる。



だいたい薬剤師だと言う夫は、そんなに大切な女房に、なんであんな酷い仕打ちをした?



係るのはもうやめよう。



明日香は、日常の喧噪の中で見つけた小さな赤い花をつけたただの雑草。


毒草かもしれない。



でもそれももう枯れてしまった。



喉が渇いて由宇は冷蔵庫の扉を開けた。



冷蔵庫の中には、半額の値札がついた牛肉のパックが二つ重ねて置いてあった。


手に取って見るとそれはすき焼き用の薄切り肉だった。



その隣にはキノコのパックと糸こんにゃくの袋。味醂の瓶もあった。



「そうだったな‥」



由宇は明日香との一昨日の会話を思い出した。



家ですき焼きをしたいと言い出したのは由宇だった。


「鍋にはね、下仁田ネギがいいんだよ」



「下仁田ネギ?何それ?聞いたことない」



明日香は、小さな口をパクパクさせながら、何度か「下仁田ネギ」を繰り返していた。




野菜室を開けると、白菜と一緒に泥の付いた下仁田ネギの包みがあった。



他の食材はみな近所のスーパーのパックなのに、



下仁田ネギだけは調布市仙川の八百屋の包みだった。



かなりの距離がある。きっとチャリを飛ばして探し回ったのだろう。



「バカ野郎!」



下仁田ネギを戻しながら、由宇は不覚にも涙が込み上げてきた。



「そうだ。早くしないと客がつく!」




     ★☆★



由宇は急いで携帯を開き、さっきの女から聞いた客用の番号に電話をした。



「お客さん、初めて?」



電話に出たのは、やはりさっきの女だった。


「いや、三度目だよ」とっさに嘘を言った。



「今日は女の子七人だけどね。ホムペ見てる?」



「あ、いま閉じちゃったけど、新しくてウブな子いないかな?」



「ウブねえ‥見た目はウブだねえ。たまたま、さっき面接したばかりの子がいるよ。

全く未経験の二十二才だよ。まだひよっこだけど、しっかり技を仕込めばうちのナンバーワンになるね。ユリはその位の子だよ」



二十二才、六つもサバ読んでいるのか。でも明日香なら、それで通用する
のだろう。



ユリ‥由宇はその源氏名を頭の中で二度繰り返した。



「できればさ、俺、小柄な子がいいんだよな。巨乳じゃなくて」



「ドンピシャだよ。ただ何度も言うけど、サービスは責任持てないよ。まだ仕込んでないからね。だから新人千円引きでいいよ」



「じゃあ、ユリさんだっけ。その子で九〇分ね。一時間半後に車で行くから秋葉原駅辺りからもう一度電話するよ」 



携帯を閉じて由宇は確信した。ユリ‥明日香に間違いない!



うる萌え女学院だと!ふざけた名前だ。場所は秋葉原だと言った。



確かに秋葉原ならオタク系のソフトな店もあるんだろう。


でも風俗業界がそんなに甘い筈もない。



カーラジオが首都高の事故渋滞を伝えていた。



予約は午後八時だった。急がなくては間に合わない。



由宇は鎌田から岡本の住宅街を抜けて、玉川通りを駒沢まで走った。



土曜日と夜桜見物が重なり思わぬ所で渋滞に巻き込まれる。



裏道をつないで渋谷を避け、原宿を抜けてやっとの思いで青山通りにでた。



迎賓館を左に見て外堀通りに出ると、四谷土手の桜が見えた。



四谷駅前には花見客が溢れ、あちこちから嬌声が聞こえていた。



信号待ちの由宇の車に、酔っ払ったカップルがよろけてぶつかった。


女はていねいに頭を下げたが、男の手に引かれて笑いながら走り抜けて行った。


笑顔が明日香に良く似ていた。多分、明日香と同じ年頃なのだろう。




飯田橋の信号待ちで、ど派手な宣伝トラックが真横についた。



耳を塞ぐほど大音量のミュージック。



眩し過ぎるピンクの灯りが、辺り一面をギラギラと染めていた。



「☆あなたの女力!日払いバイトで超、超高収入☆」



ピースサインでウインクする三人ギャルの漫画を背景に、

確かこんな唄い文句が書いてあるラッピングトラックだった。 




親元を離れ、地方から希望を胸に東京に就職してくる年頃の女達。



多くは手取り十六万位の生活費で新生活を始めるのだろう。



家賃で七万、食費光熱費に携帯代で六万が消え、残り三万で何ができるのだろう?



年頃の娘は美容院にも行くだろうし、服にも化粧品にも金がかかる。



同世代で都会育ちの娘たちとでは勝負にならない。


これって、地方虐待なんじゃないのか? 



そんな適齢期の娘たちを食い物にするのがネオンの世界。



さらに‥由宇は思いついて苦笑した。



自分たち不良中年なのだ。



「罠!罠!罠!」由宇は、漫画の三人のギャル一人一人を指さしながらそうつぶやいた。



この渋滞を抜ければ、秋葉原まではあと十分もかからないだろう。



昭和通りに入り間もなく右折すると、そこは繁華街から外れて数軒おきに中華屋や居酒屋が混在する裏通りだった。



【うる萌え女学院】は看板すら出さず、この半端なビル街の一角で客を集めているらしい。



予約の八時までは後二〇分程の余裕があった。



受付はそんな町並みに立つ雑居ビルの六階にあった。



     -続く-





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コメント

40代前半  東京都

2015/06/10 9:20

6. 都内はお金が美容や服にお金がかかるし

待ち合わせで道に立ってるとおじさんに声かけられることも未だにあるよね。

キャッチも多いし、友達も楽して稼げると声かけてくるから

とめてくれるなら今!ってところで
ズルズルハマっていくのか二話また読みますね!

40代半ば  鹿児島県

2015/06/10 9:09

5.  >>4 ツブネコ[芽]さん
②読んだのに①に返コメするボケっぷり(;^_^A

これは実話なのか、ちょっと気になる=^・ω・^=

60代前半  東京都

2015/06/10 9:03

4.  >>3 [クローバー]あゆ ふわりん[クローバー]さん

おはよう[晴れ]

これは三年ほど前、日記に書いて、今は消されちゃった小話を、思い出しながら編集してみたんだよ。

②はもうアップしましたよ。③以降は[化粧]強烈だから読まない方がいいかもね(笑)

40代半ば  鹿児島県

2015/06/10 8:47

3. おはようございます。

早く先を知りたいです。

作家さんみたいですね[ウィンク]

60代前半  東京都

2015/06/10 8:06

2.  >>1 クロコダイル・ダンディ・ケンジさん
おはよう[晴れ]

ごく普通の女が、夢や希望を胸に秘めて大都会へ出てくる。

そこで彼女たちを待っているものは‥

様々な日常の変化から、都会の罠に飲み込まれそうになる、弱い女達。

なんか、そんな漠然としたテーマで書き始めましたが、

結果、ただの[化粧]エロ話ですた(笑)

2015/06/10 7:52

1. 
自分の知り合いの女性にも高校生で家出をして風俗で働いて居た娘や親と喧嘩をして家出して一人暮らしをしながら風俗で働いている娘が居ますが、どちらも楽をして稼げる仕事で無い事を痛感してます(-_-;)

甘い誘いは後の苦汁を隠す衣みたいな物だと分からずに安易に飛び込んだ後で判って後悔をしてました!

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