さよなら陥没乳頭【奈央、女子大講師の場合】②前編より
「奈央、恥ずかしがってたんじゃ、何も始まらないよ」
「はい‥」と頷いたけれど、奈央はやはり左手で左胸をしっかり覆ったまま離さない。
僕にしてみれば、奈央の右胸とだって初対面だったのだ。
169と長身な割には、奈央の右胸は夏みかんの半切りにも満たないほどの大きさだった。
乳首は少し小さめだが、
緊張のせいか、周りより赤みを帯びてピンと張り詰めていた。
僕は左胸へのこだわりを棚上げにして、
奈央の首筋を支えて、鼻の頭や額、目頭、そして上唇にキスの雨を降らせた。
おそらく、彼女はそんな時間が一番好きなんだろう。
長い腕がすーっと伸びてきて僕の肩を包み、はにかむような、責めるような目で僕を見つめた。
不思議な女だった。
派手さはないが、奈央には弥勒菩薩のような静かな優しさがある。
奈央は、今日も講義の帰り、紋次郎に小さなオムレツ弁当を作ってきた。
長身を屈ませ、何か話しかけながら、箸で彼の嘴に少しずつオムレツを運んでいた。
ひと欠片をつまんでみると、味が薄過ぎてあまり美味くない。
「味がないな」
僕がそう言うと、奈央は微笑みながら紋次郎に話しかけた。
「パパのお好みので作ったら、紋ちゃん長生きできないもんねぇ」
クアッ.クアッと羽根をバタつかせながら、紋次郎が頷いている。
奈央‥長女でO型だと言っていた。
僕は人生の中で色々な女に出会ってきたが、
これほどもの静かで、天性の優しさを持った女に出会ったのは初めてだった。
それでいて、彼女は大学で栄養学の講義をする才女なのだ。
★☆★
「奈央‥」
「はい」
「左胸を見てもいいかい?」
奈央は頷いて、覆っていた左手をそっと離した。
凝視すると、やはり乳首は乳輪をも巻き込んで、半分以上白い丘の中に陥没していた。
「なんだ、ちゃんと可愛い頭が見えてるじゃないか」
奈央は耳を紅潮させ、真横を向いて息を弾ませている。
「いいかい、ちょっと色々やって見るから怖がるなよ」
「お願いします。でも吸引器も試してみたけれどダメだったの。
お乳の出る管が短いと言うか、育たなかったみたい」
僕は頷いて、指先で頭を軽く突ついてみた。
左乳首は南天の実のように固く張り詰めても、飛び出しては来ない。
「チビナオはなかなか恥ずかしがりやだな。よし、僕が言い聞かせてやろう(笑)」
「チビナオって?」
「そう、いま名前つけた。長い付き合いになりそだからね」
そう言いながら、僕は乳首の回りを両手で広げて
舌で濡らしながら吸い付いた。
胸を平らに押しつけ、濡らして吸うと、乳首はつくしの頭のように、顔を出す。
でも、気を抜くともぐら叩きのもぐらのように、
するすると穴の中に逃げてしまう。
「ごめんなさい。気持ち悪くなったら止めてね」
奈央は、僕に気遣ったつもりなのか、そんなことを口走った。
「おい、バカなこと言うなよ!奈央の体の部品で、気持ち悪いものなんて一つもない!」
僕は少し声を荒げて、奈央を睨みつけ、舌と唇で作業を続けた。
「ごめんなさい」
そう言いながら、奈央の胸はピクピクと震え始めた。
「チビナオ。手間のかかる子ほど可愛いんだよな」
僕は、心持ち顔を出したチビナオを、赤ん坊の頭に触るように、指先で撫でた。
奈央の胸の震えは治まらず、逆に大きくなっていった。
「ん、泣いてるの?」
奈央は、少し笑顔を見せたけれど、すぐ泣き顔に戻り、
しまいには、嗚咽を漏らして泣きじゃくり始めた。
仙台で別れたと言う奈央の元カレは教員仲間だったと言う。
チビナオを、へそのゴマとからかい、別れを決断させるまで奈央を傷つけた男。
僕はそいつに、沸々とした怒りがこみ上げてきた。
「何も気にするなよ。今のままだって十分可愛いんだから」
「由宇‥」
「どうした?」
「抱いて欲しい」
消え入るような声で、奈央がつぶやいた。
僕は、こんな奈央を悲しませた前カレに、怒りにも増す嫉妬を覚えた。
その思いを打ち消すように、僕は少し荒々しく奈央を引き寄せた。
「奈央‥今日は少し激しくなるかも知れない」
「私もそうして欲しい」
いつになく上気した顔で
、奈央は答えた。
目尻に残った涙を拭うと、奈央は僕の顔を引き寄せ、尖らせた舌を自ら僕の歯の間に入れてきた。
少ししょっぱい涙の味がした。
「どうしたんだい?いつもと違うね」
「チビナオって呼んでくれて‥すごく嬉しかったの」
「それで、こんなに変わったの?」
「うん」
「大丈夫だよ。チビナオはもうすぐ大人になって、恥ずかしがらずに僕の前に出てくるよ」
「ほんと?」
頷きながら、僕は初めて
奈央の右の乳首を口に含んだ。
奈央が高い声で泣き、僕の頭皮に爪を立てる。
脚を開き間に入ると、奈央はするすると膝を立て、
「ありがとう」と小さな声でつぶやいた。
元カレへの怒りは薄れて、僕はそんな奈央に集中する。
ウエストを引き寄せ、両膝に手を添えて、何度か滑らせながら突き出すと、
僕と奈央の境目はすっかりなくなり、僕は奈央の体の一部になった。
それは一度目、二度目とは全く違う感覚だった。
今思えば、前の二回は僕の懇願に優しい奈央が仕方なく応えてくれたのだろう。
でも、今日の奈央は違った。
―続―
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