三茶動物園と言われていたあの頃‥ブン(猫)紋次郎(カラス)は今‥
「おじちゃん、こんにちは~!ブンちゃん貸して下さ~い!」
いつものランドセルのJS三人組がキャーキャー騒ぎながら、事務所の引き戸を開けて入ってきた。
彼女たちは、三茶動物園の常連さん達だ。
「やあ、こんにちは。ブンかい?いいよ」
扉の外では、はにかみ屋のJS達がガラス越しに中の様子をうかがっている。
新顔の子も二人いた。
でも、僕の足元にいたブンは、彼女たちの黄色い声を聞くや否や、
ビューっと、事務所の商品棚の上に逃げてしまった。
「ブンちゃん、どうしたの?いつもみたいに遊ぼ。ねっ!ねっ!」
リーダー格のソラちゃんは、幼稚園児の頃からの顔見知りで四月には六年生になる。
ブンは、棚の上で素知らぬ顔でソッポを向いている。
他の二人はソラちゃんのクラスメートで、三人でブンを呼び始めた。
普段は社員以外、職人達や材料屋しか出入りしない殺風景な事務所が、
JS達の声でパッと華やかになった。
カラスの紋次郎がクワックワッと騒ぎ出した。
こいつは女好きで、自分が構ってもらえないので焼き餅を焼いているのだ。
もう、やかましくて仕方ない(笑)
僕は笑いながらブンを説得する。
「ほらほらブン、降りておいで。いつものお務めだよ」
渋々降りてきたブンを抱えて、女の子達はキャーキャー騒ぎながら神社の方に消えていった。
とたんに事務所は、水を打ったような静けさに戻った。
でも、紋次郎はまだ納得がいかないらしく、巣箱の中を行ったり来たり。
紋次郎は、奈央さんが神戸に転勤してしまってから、情緒不安定なのだ。
(9/23日記 陥没乳頭の女)
★☆★
元気のない紋次郎が少し可哀想になり、
巣箱から出してやった。
カタログケースの上にとまった紋次郎が話しかけてくる。
「クァックァッ‥パパ、奈央さんが神戸に転勤しちゃってから元気がないね?」
「ふん、お前こそ奈央さん弁当食えなくなって、参ってるんだろ?」
「奈央さ~ん。カァカァ!」
「急にカラス言葉に戻るんじゃねえ(笑)さ、少し飛び回って運動しな!」
「パパ、奈央さんに何か変な事しただろ?」
「変な事?カラスのお前に言われる筋合いはねぇ」
「オレをダシに使って奈央さん口説いたんだな!許せねえ」
「二年も糞生意気なお前の面倒見てんだ。バチは当たらねえさ(笑)」
「糞っ、やっぱり奈央さんを!許せねぇ。クアックアッ」
「カラスにはカラスの事情があるように、人には人の事情があるんだよ」
「オレ、奈央さんに会いに神戸まで行く!」
「ああ、いつでも放してやるぞ。でもな、お前の行動範囲って、せいぜい2キロ。
たんか切って出て行っても、結局は泣きながら帰ってくるじゃねえか」
「ガアーッ、ガアッ!今に見てろ。ここ飛び出してやる」
「神戸に行くなんて考えんな!あのJS達で我慢しろ。毎日スナック菓子貰ってるじゃねぇか」
「ううっ、あいつらもまたパパに横取りされる気がする」
「ふざけんな(笑笑)、あいつら小学生だぞ。犯罪だろ(笑)」
「パパは何するか、いつも読めねえ!」
「バカこくな(笑)さあ、ハウスに帰りな」
そうこうしている内に、小学生達に帰宅を促す五時半の放送が流れた。
放送が鳴り止まない内に、JS七人組を振り切って、ブンがダッシュで事務所に駆け込んできた。
「ありがとうございました!」
七人の黄色い声一つ一つに手を振る僕。
そんな、何の変哲もない三茶動物園の日々が過ぎて行った。
紋次郎、元気にしているか?
ブン、天国は住みやすいか?
三茶動物園のメンバー達の半数は、もう虹の橋を渡ってしまった。
みんな、今の僕を虹の橋の彼方から、どんな眼差しで見ているんだろう。
ふと、目頭が熱くなった。
コメント
2016/02/12 7:34
2. おはようございます。
嫌われモノのカラスを手なずける!
ツブネコさんて、口説き上手!?
小学生のお嬢ちゃんにも人気あったのね。
猫のブンちゃんをダシにして、、、
人にも優しい訳ね(///∇///)
カラスは自然に寄って来ないのに、、、
手なずける必殺技!あったのかな!?
返コメ
2016/02/12 7:20
1.
おはよう!
ヘ⌒ヽフ
. ( ・ω・)小学生まで食っちゃ
ノ"" ) )ダメなんだぞー!
彡ノ,,,,ノ
―〃-〃――――
レ,,/
返コメ