「一緒に!!」私の中をオレンジ色のバスが走り回った。…迷い蝶⑦
60代前半  東京都
2016/07/26 5:13
「一緒に!!」私の中をオレンジ色のバスが走り回った。…迷い蝶⑦
「ねえ、小指の短い女って妊娠しにくいって本当?」


ルージュを引きながら、化粧鏡の中の由宇に語りかけると、


高校野球を見ていた由宇は、なにかぶつぶつ言いながらテレビを消して私の真後ろに立った。



「ん。小指がどうしたって?」



由宇は私の左手をグイと掴んで、小指をチラ見した。



「短い?そう言えば薬指の半分ほどかな。気にしたことはないな」



そう言いながら、由宇は捕まえた私の手首をなかなか離してはくれない。



「ね、分かったら手離して!」



鏡の中の由宇に問いかけると、勝ち誇った狼のような目に見つめ返された。



もう一度したい時の由宇は、いつもこんな目で私を見る。



「小指って、誰にそんなこと聞いたんだ?」



「マミよ。あの子の小指も私と同じ感じなの」



「なぜ今、お前たち二人で妊娠の話なんだ?」



「別に意味はないわ。何となくよ」



「ふーん‥」



気のない返事をしながら、由宇は片手で私のバスローブの紐を解き、両肩から滑らせた。



その間も、ずっと鏡の中の私の目を見つめたまま。



本当は優しいこいつ。

でも、私に襲いかかる時って、いつもこんな恐い顔なのね。



由宇の指が、反応を確かめながら私の肌を這いずり回る。


「ちょっとやめてよね。私、自分の裸って好きじゃないんだから」



「オレはたまらなく好きさ」



引き立たされ、左右の二の腕を鷲掴みされた私が、ちょっと怯えた顔で鏡に写っている。



初めて抱かれた日から一年も経つのに、由宇の中では私はまだ獲物のままらしい。


私のうなじにキスをする鏡の中の由宇は、まるでドラキュラ。



ずっと由宇の獲物でいられるなら、噛みつかれ血まみれになってもかまわない。



肩をすぼめて顎を上げる私は、せっかく洗い清めた下がまた溢れ始めてしまった。



そんな二人の有り様を無情な鏡は馬鹿正直に写し出している。



「体つきが女っぽくなったな」


「太ったってこと?」



睨みつけると、由宇はワンサイズ成長した私の胸を両手で掴んだ。




「そうじゃない。筋ばっていた腰や脇腹が丸みを帯びて、女らしくなった」


「私、もう来年30なのよ」



由宇は、そんな私を前のめりにさせ、化粧台に両手をつかせた。



「ええっ、ここで?」



獲物の私は、由宇に逆らうことを知らないまま、一年を過ごしてしまった。



後ろから挿れる時って、由宇はどんな顔をしているの?



でも、鏡の中の由宇は私と目を合わさず、私の腰をグイと引き上げて高さを合わせている。



当たり前のように女を扱う由宇を見た私は、ハッとして固まってしまった。



鏡の中で由宇に尻を突き出している女。



あなたはは誰?



由宇が知らない女を犯そうとしている。



激しい嫉妬に、私は鏡の中の淫乱な女を睨みつけた。



いえ、あれは私よ!


何言ってるの、私でしょ!


私は慌てて後ろ手を由宇に泳がせた。


二の腕をグイと掴まれた感触に私は気が抜けるほど安心する。



早く満たされたい。


由宇の先端は、入り口を探して扉回りを舐めている。


待ちきれない私が、小さく腰を振り位置を合わせた瞬間、


滑るように入って来た由宇に射抜かれた。



「動かないで!」



いつものことなので、由宇のヤツは頷いて微笑んでいるのに、



鏡の中の私には、そんな余裕はない。



いきなり押し広げられて歪んだ顔。

金魚のようにパクパク開いた口。

小さく揺れる乳房。


そして、喉の奥から湧き上がる嗚咽。




それは、私が初めて見聞きする私自身だった。





由宇は、待ちきれないのか、いつもより早く動き始める。


私は、自分の泣き顔をみて、意識が飛びそうになった。


性急に抜き差しされ、髪を振る私。


鏡と平行にされると、力強く私に突き刺さる由宇が見えた。




なんてヤらしいの?


由宇のヤツ、こんなに破廉恥な私をいつも見下ろしていたんだわ!



恥ずかしくて頭がカーッとなった瞬間、



あのオレンジ色のバスが私の中を走り始めた。



グンと奥に当たる度、私の中に電撃が走り、もう目を開けていられない。




二度目のアクメはそのすぐ後に来て、



まだ震えが収まらないと言うのに、由宇はお構いなしに私を突き狂う。




「もうだめ!」


「我慢しろ」


「無理、死んじゃう!」


「お前はそれほどヤワじゃない!」



言葉を失った私の中の坂道を、

オレンジ色のバスが唸りを上げて駆け上がる。



もうすぐ山頂ね。




「一緒に!」

「一緒に!」


私はそう叫んでいたらしい。


腰骨を支えていた由宇の手に力が入り、


グイと持ち上げられた私の全体が宙に浮いた。




由宇の指が脇腹に食い込んで、私の内壁も由宇の
痙攣に合わせて震える。




そして、私は糸が切れた風船のように空に高く舞い上がった。




     ★☆★



「夕立が来そうね」


風が出てきたらしい。南風が、レースのカーテンを揺らし、


午前中は窓いっぱいに見えていた富士山が、黒い雲に覆われていた。


北の窓から見える山中湖の水面にはさざ波が立っていた。



「ねえ、由宇‥」



腕枕のまま、耳を彼の胸に押し付けると、力強い鼓動が聞こえる。



由宇の就職が決まってからは、以前のように気ままに会うことが難しくなってしまった。



「ねえ、聞いてる?」



「ああ、聞いてるよ」




いきなり降り出した雨が、富士山側の広い窓を激しく叩き始めた。



「何でさっき妊娠の話なんかしたんだ?」



私は由宇の体から離れてベッドの上に座り込み、窓に当たり砕ける雨粒を見ながらつぶやいた。



「マミも私もね、もうすぐ30なのよね‥」


その後に続けるはずの言葉が出てこない。


とても出せなかった。



その時、私はとても恐ろしいことを考えていたからだ‥





       ―続―








一部の方のご要望に応えて、濡れ場を追加してしまいました(笑)


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コメント

70代以上  埼玉県

2016/07/26 18:06

18. 
おつかれさまです。
小指、短いですよ♪(笑)

梅雨明け前に、アダルト続編でちゃって~
前回より前回よりエロいんで、ビックリ!

コレだと続編はエロ路線を進みますね(^^)
長編大作、お待ちしてます。

70代以上  山口県

2016/07/26 15:49

17.  >>16 ツブネコ[芽]さん
こんにちは。
おこまには寒いくらい(笑)
花村編集長てね
朝ドラのとと姉ちゃんに出てる編集長よ(笑)
その人に頼めば
パパのゲラを引き取ってくれるわよ。
パパの作品素晴らしいって褒めてくれる
そして…たちまちパパは売れっ子作家になれる♪

60代前半  東京都

2016/07/26 14:49

16.  >>14 おこま (⌒~⌒)さん

こんにちは[曇り][雨] 蒸し暑いね。

小指の話は根拠がないけど、結構言われてるみたいだね。

ん、花村編集長て誰??

60代前半  東京都

2016/07/26 13:46

15.  >>13 かなちん@ワクワクLife自叙伝-連載開始さん

性的現役者(笑笑)

ドーピングなしで何とか続けてますけど、回復が‥ちょっとね[バッド(下向き矢印)]

こういうシーンを書いていると、結構刺激になりますよ。

70代以上  山口県

2016/07/26 12:10

14. 思わず
自分の小指を見てしまったよ~

やっぱり
パパは作家になるべきだ!
花村編集長を紹介するから気が向いたら連絡頂戴な♪

2016/07/26 11:20

13. おう…
官能シーンの描写もスマートになってきてますね[わーい(嬉しい顔)]
性的現役者の強みですかね!

60代前半  東京都

2016/07/26 8:57

12.  >>11 T.Shinさん

イき顔美人か‥

そう、よほど信頼しあった相手にしか見せない偽りない表情だもんね。

実は、イき顔って体のどこよりもエロいんだよ。

だからって、鏡見ながら練習するなよ。怖い(笑)

30代前半  東京都

2016/07/26 8:48

11. 超エロいっ!
キャーッ!\(☆o☆)/

もう、頭クラクラです。

そかそか。イキ顔ってある意味大切ですね。私もイキ顔美人にならなくちゃw

60代前半  東京都

2016/07/26 8:28

10.  >>8 クロコダイル・ダンディ・ケンジさん

おはよ[曇り][晴れ]

そう。濡れ場から、命の泉が湧き出てくるんです(笑)

60代前半  東京都

2016/07/26 8:25

9.  >>5 [王冠][猫]ニャンコ先生[猫][王冠]さん

恥ずかしがるところが、またいいんだよ。

鏡、なかなかのアイテムです。

お子ちゃまの心を大切にね!(笑)

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