「一緒に!!」私の中をオレンジ色のバスが走り回った。…迷い蝶⑦
「ねえ、小指の短い女って妊娠しにくいって本当?」
ルージュを引きながら、化粧鏡の中の由宇に語りかけると、
高校野球を見ていた由宇は、なにかぶつぶつ言いながらテレビを消して私の真後ろに立った。
「ん。小指がどうしたって?」
由宇は私の左手をグイと掴んで、小指をチラ見した。
「短い?そう言えば薬指の半分ほどかな。気にしたことはないな」
そう言いながら、由宇は捕まえた私の手首をなかなか離してはくれない。
「ね、分かったら手離して!」
鏡の中の由宇に問いかけると、勝ち誇った狼のような目に見つめ返された。
もう一度したい時の由宇は、いつもこんな目で私を見る。
「小指って、誰にそんなこと聞いたんだ?」
「マミよ。あの子の小指も私と同じ感じなの」
「なぜ今、お前たち二人で妊娠の話なんだ?」
「別に意味はないわ。何となくよ」
「ふーん‥」
気のない返事をしながら、由宇は片手で私のバスローブの紐を解き、両肩から滑らせた。
その間も、ずっと鏡の中の私の目を見つめたまま。
本当は優しいこいつ。
でも、私に襲いかかる時って、いつもこんな恐い顔なのね。
由宇の指が、反応を確かめながら私の肌を這いずり回る。
「ちょっとやめてよね。私、自分の裸って好きじゃないんだから」
「オレはたまらなく好きさ」
引き立たされ、左右の二の腕を鷲掴みされた私が、ちょっと怯えた顔で鏡に写っている。
初めて抱かれた日から一年も経つのに、由宇の中では私はまだ獲物のままらしい。
私のうなじにキスをする鏡の中の由宇は、まるでドラキュラ。
ずっと由宇の獲物でいられるなら、噛みつかれ血まみれになってもかまわない。
肩をすぼめて顎を上げる私は、せっかく洗い清めた下がまた溢れ始めてしまった。
そんな二人の有り様を無情な鏡は馬鹿正直に写し出している。
「体つきが女っぽくなったな」
「太ったってこと?」
睨みつけると、由宇はワンサイズ成長した私の胸を両手で掴んだ。
「そうじゃない。筋ばっていた腰や脇腹が丸みを帯びて、女らしくなった」
「私、もう来年30なのよ」
由宇は、そんな私を前のめりにさせ、化粧台に両手をつかせた。
「ええっ、ここで?」
獲物の私は、由宇に逆らうことを知らないまま、一年を過ごしてしまった。
後ろから挿れる時って、由宇はどんな顔をしているの?
でも、鏡の中の由宇は私と目を合わさず、私の腰をグイと引き上げて高さを合わせている。
当たり前のように女を扱う由宇を見た私は、ハッとして固まってしまった。
鏡の中で由宇に尻を突き出している女。
あなたはは誰?
由宇が知らない女を犯そうとしている。
激しい嫉妬に、私は鏡の中の淫乱な女を睨みつけた。
いえ、あれは私よ!
何言ってるの、私でしょ!
私は慌てて後ろ手を由宇に泳がせた。
二の腕をグイと掴まれた感触に私は気が抜けるほど安心する。
早く満たされたい。
由宇の先端は、入り口を探して扉回りを舐めている。
待ちきれない私が、小さく腰を振り位置を合わせた瞬間、
滑るように入って来た由宇に射抜かれた。
「動かないで!」
いつものことなので、由宇のヤツは頷いて微笑んでいるのに、
鏡の中の私には、そんな余裕はない。
いきなり押し広げられて歪んだ顔。
金魚のようにパクパク開いた口。
小さく揺れる乳房。
そして、喉の奥から湧き上がる嗚咽。
それは、私が初めて見聞きする私自身だった。
由宇は、待ちきれないのか、いつもより早く動き始める。
私は、自分の泣き顔をみて、意識が飛びそうになった。
性急に抜き差しされ、髪を振る私。
鏡と平行にされると、力強く私に突き刺さる由宇が見えた。
なんてヤらしいの?
由宇のヤツ、こんなに破廉恥な私をいつも見下ろしていたんだわ!
恥ずかしくて頭がカーッとなった瞬間、
あのオレンジ色のバスが私の中を走り始めた。
グンと奥に当たる度、私の中に電撃が走り、もう目を開けていられない。
二度目のアクメはそのすぐ後に来て、
まだ震えが収まらないと言うのに、由宇はお構いなしに私を突き狂う。
「もうだめ!」
「我慢しろ」
「無理、死んじゃう!」
「お前はそれほどヤワじゃない!」
言葉を失った私の中の坂道を、
オレンジ色のバスが唸りを上げて駆け上がる。
もうすぐ山頂ね。
「一緒に!」
「一緒に!」
私はそう叫んでいたらしい。
腰骨を支えていた由宇の手に力が入り、
グイと持ち上げられた私の全体が宙に浮いた。
由宇の指が脇腹に食い込んで、私の内壁も由宇の
痙攣に合わせて震える。
そして、私は糸が切れた風船のように空に高く舞い上がった。
★☆★
「夕立が来そうね」
風が出てきたらしい。南風が、レースのカーテンを揺らし、
午前中は窓いっぱいに見えていた富士山が、黒い雲に覆われていた。
北の窓から見える山中湖の水面にはさざ波が立っていた。
「ねえ、由宇‥」
腕枕のまま、耳を彼の胸に押し付けると、力強い鼓動が聞こえる。
由宇の就職が決まってからは、以前のように気ままに会うことが難しくなってしまった。
「ねえ、聞いてる?」
「ああ、聞いてるよ」
いきなり降り出した雨が、富士山側の広い窓を激しく叩き始めた。
「何でさっき妊娠の話なんかしたんだ?」
私は由宇の体から離れてベッドの上に座り込み、窓に当たり砕ける雨粒を見ながらつぶやいた。
「マミも私もね、もうすぐ30なのよね‥」
その後に続けるはずの言葉が出てこない。
とても出せなかった。
その時、私はとても恐ろしいことを考えていたからだ‥
―続―
一部の方のご要望に応えて、濡れ場を追加してしまいました(笑)
コメント
2016/07/26 8:23
8.
やっぱり濡れ場が無いとねぇ~(^-^)v
返コメ
2016/07/26 8:17
7. >>4 ひろりん![[黒ハート]](https://img.550909.com/emoji/ic_b_heart.gif)
さん
![[曇り]](https://img.550909.com/emoji/ic_cloudy.gif)
キャーッ![[走る人]](https://img.550909.com/emoji/ic_runner.gif)
おはよ
真っ赤かい?凄い!オレンジ色が負けてる(笑)
返コメ
2016/07/26 8:13
6. >>3 サニ子(完熟マンゴープリン)さん
![[曇り]](https://img.550909.com/emoji/ic_cloudy.gif)
やべ!二度寝してた
![[バッド(下向き矢印)]](https://img.550909.com/emoji/ic_bad.gif)
おはよ
不倫愛もここまで来ると深刻だよ
返コメ
2016/07/26 8:03
5.
おはょ~ございます(^o^)/
男の人って鏡の前で立ちバックするの好きですょね
あちきゎ恥ずかしくて集中出来まへん(@_@)
お子チャマなんかな…
返コメ
2016/07/26 7:00
4. おはょです![[わーい(嬉しい顔)]](https://img.550909.com/emoji/ic_smile.gif)
バスが通り抜けまつ![[目がハート]](https://img.550909.com/emoji/ic_face_hearteye.gif)
(笑)
![[泣き笑い]](https://img.550909.com/emoji/ic_face_happy.gif)
![[走る人]](https://img.550909.com/emoji/ic_runner.gif)
(笑)
うちの ばやい
メラメラと萌える真っ赤な
キャーッ
小指長いさかいに妊娠OK
もぉ アカンか
返コメ
2016/07/26 6:48
3. 朝から、エッローーーーー!
妊娠したいのね?
由宇の子を孕みたいのね?
そーなのね?笑
返コメ
2016/07/26 5:55
2. >>1 くまちゃんさん
僕も羨ましいよ(笑)
返コメ
2016/07/26 5:16
1. う 羨ましいな
返コメ