浴衣と地層と化石と、出会い系なりの性欲と…
60代前半  東京都
2016/12/07 5:18
浴衣と地層と化石と、出会い系なりの性欲と…
「近くに来ているんだ」


あいつの電話はいつも身勝手で突然だった。



ダラダラと夜勤明けを過ごしていた私は、断ればいいのに、つい明るい声で応えてしまう。


急いで身支度を整え、キーを回したのは、それから1時間後の2時過ぎだった。



国道を逸れ、ナビを頼りに曲がりくねった坂を走り抜けると、


県道沿いに晩秋の寂しげな田園風景が広がった。


山々は、黄色や赤茶色に彩られ、傾き始めた日が、農家の庭先にまばらになった柿の実を真っ赤に染めていた。



あいつらしいと思った。



人込みや観光地が嫌いな比呂は、泊まるホテルだって、わざわざ辺鄙な場所を選ぶのだろう。



ナビの目的地は、川のほとりの山あいの一軒宿だった。



でも、着いてみるとそこは朽ち果てた日本旅館ではなくて、手入れが行き届いた小綺麗な洋館だった。



チャペルが見えると言う事は、結婚式場も兼ねているみたいだ。



「着いたわよ」



車を停め、メールを入れると、すぐに比呂から電話があった。



「愛ちゃん、ホテルの前に川が見えるだろ?今、その川原の50メートルほど下流にいるんだ」



「川原?そんなところで何してるの?」



「地層があるんだよ。ちょっと見に来ないか?」



「地層って何よ?ごちそうなら、ホテルのディナーじゃなかったの?」



私を呼びつけておいて、あいつは又、何かに夢中になっているらしい。



川原を降りてしばらく歩くと比呂がカメラを片手に突っ立っていた。



「ここはね、1500万年位前は秩父湾って言って海の底だったんだ」



比呂は対岸のむき出しになった地層を指さしてそう言った。



目の前には、30度位に傾いた10層ほどの地層があり、


その一部が崩れて、対岸の川原に小山を作っていた。


どうやら、比呂はこの景色に刺激されたみたいだ。


「ヒマラヤだって昔は海底だったんでしょ。別に珍しくないわよ」


私は、そんな比呂に冷たく水を差した。



「まあな。でもこんなに見事に地層が露出している場所はそうはない」



比呂は目をキラキラさせながら、靴と靴下を脱ぎ捨てようとしている。



「まさか、あなた川を渡るつもりじゃないでしょうね?」


「夕食まで三時間あるからさ、一時間だけ好きにさせてくれないか」


比呂はそう言って、部屋の鍵を私に握らせた。



「やだ、帰るからね!」



私は小娘のように唇を尖らせ、流し目で彼を睨みつけたが、


内心はそれほど怒ってはいない。


こいつは、夏に会った時も、虫取りに夢中になって私を二時間も待たせた前科がある。




     ★☆★



私は暇にまかせて、ホテル内を歩き回った。



変なヤツ!


こんな流れは、出会い系で会う他の男と女には有り得ないだろう。



でも、だから私はこの奇妙な男に惹かれているのかも知れない。


いや、惹かれているのではない。単に興味があるだけだ。




バツイチ直前で、別居二年目の私は、もう男に何か求める気は失せてしまった。


結婚だなんて、もう真っ平だ。


比呂とは年も離れているし、中性的な会話が心地良くて何度か会っている。


でも、言い寄られたことは一度もない。



今回の逢瀬だって、近くに来たから一緒にメシでも食おう。


飲んだり、帰るのが億劫になったら泊まってゆけばいい…なんて


まるで、男を誘うような言い草だ。



本当は三十を少し超えた私。


職場で後輩の女の子達には告られても、男には避けられてる。


来月、離婚が成立したら周りの男達の目も少しは変わってくるのかな?



私のシフトを知っている比呂は、今晩は泊まっていけなどと平気で言うけれど、彼の本心てどうなんだろう。



セックスにはまるで冷め切っている私でも、今日の比呂がどう出てくるかはとても気になる。



決してしたいわけではないけれど、


したい!とは言われてみたいし、



もし、まったく言われないなら、私は今後の男社会との付き合い方を考え直した方が良いのだろう。


認めたくはないけれど、そんな時期が来ているのかも知れない。




     ★☆★



「何だ、その格好は!?」



地層探索から帰ってきた比呂は、派手なピンクの浴衣姿の私を見るなり立ちすくんだ。



「部屋付きの露天風呂に入ってみたのよ。素敵な浴衣がロビーに飾ってあったからぼーっと見てたら、フロントのおじさんが貸してくれたの」



「驚いたな。Gパンと白衣姿しか見たことがなかったからな…」



「かなり恥ずかしいんだけど…」


「いや、脱ぐな。ここにいる間、ずっとそのままでいろ」


「脱がないわよ!バッカみたい」



笑い転げる私を、比呂の少し湿った目線が追ってきた。


「でもこの浴衣、私には丈が短くて足元が寒いのよね」





     ★☆★



他の泊まり客から、私達ってどう見えるのだろう?


親子?いえいえ、やはりちょっと怪しい年の差カップルなんだろうな。



チクリチクリと突き刺さる視線に、


比呂は部屋食にすれば良かったなどとつぶやいたが、私は上機嫌だった。



運ばれてくるフレンチは、材料はありきたりでも手が込んでいてとても美味しい。



おかわりのグラスワインを舐めながら、私は比呂を弄り始めた。



「さんざん私をほったらかしにして、恐竜の化石でも見つけたの?」



「いや、葉っぱの化石しか見つからなかった。崩れているのは一番上のまだ泥炭状の地層だからね」


「あーら、それは残念だったわね。他の女の子だったら、怒って帰っちゃうところよ」



「ああ、悪かったな」


比呂は素直に謝った。



「残ってて上げた代わりに約束して。私に変な気起こさないって」



「わかったよ」


比呂は、ぶっきらぼうにそう言って、私から目を逸らした。




でも、こんな穏やかそうな比呂でも、やはり男は男だった。



部屋に帰った私は、



今までなら想像もつかない比呂の豹変ぶりに、度肝を抜かれてしまうのだ。




       ー続ー





これは、僕が先月の一人旅の夜に見た夢です。


女目線で書いているのは、その方が生々しいからね(笑)


それでは皆様、夢の続きは数日後に…




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コメント

60代前半  東京都

2016/12/09 5:03

39.  >>38 Soraさん

おはよう[夜]

いま、upしました。おやすみなさい[眠い(睡眠)]

疲れたわ(笑)

30代前半  埼玉県

2016/12/09 2:11

38. 早く続き書いて下さい。
気になって眠れません!

60代前半  東京都

2016/12/09 0:47

37.  >>36 あみ♪さん

こんばんは。寝落ちしとった[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]

いやいや、アミさんのも完結楽しみにしていますよ!

50代前半  埼玉県

2016/12/08 22:57

36.  >>33 ツブネコ[芽]さん
美魔女だなんて…
そんなことないないっ!(^o^;)
でも、ありがとです♪
(*^ー^)ノ♪

もうね…
ツブさんの小説読んじゃうと
私の日記は…
文才足りませーん☆★
ヾ(*T▽T*)

続きを楽しみにしてまふ♪(*^^*)

60代前半  東京都

2016/12/08 19:56

35.  >>34 ダヤン ̄(=∵=) ̄さん
こんばんは。コメありがとう。

そうだね、妄想になればなるほど小道具まで出して

読み手さんをケムに巻くんですよ(笑)

70代以上  京都府

2016/12/08 17:21

34. (・ω・)ノ早く続き読みたい〓空想の割には何時もリアリティーありありだね♪

60代前半  東京都

2016/12/08 14:58

33.  >>32 あみ♪さん

やあ、美魔女のアミちゃん、お久しぶりですね。

一見エロくないように始まって、超エロに化けるのが僕の得意技。

閲覧注意[危険・警告]。見ちゃダメですよ!(笑)

50代前半  埼玉県

2016/12/08 14:02

32. いいな~
つぶさんの小説?
エロいよーなエロくないよーな
ちゃんと、文面が成り立ってる…

←そこかーい☆★(^^;

60代前半  東京都

2016/12/08 13:53

31.  >>29 [黒ハート]
さん

ややこしいかな?そう言えば確かに(笑)

そんなこと言われると、ますます混乱するんで、
もう、何も考えずに続けますね(笑)

20代半ば  東京都

2016/12/08 12:14

29. 夢ですか?ほんと?w

夢の中に現れた美人さんと、リアルの自分との絡みを、

お相手の彼女の目線で書こうなんて、なんてややこしいことを!ww

でも、この後どうなるんでしょう?楽しみ。

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