お前と暮らして13年か… 【ゴミ箱の中の天使】①
お誕生日おめでとう!
13年か…お前人間だったら、もう中坊だもんな!
なんかさ、オレ風邪引いたみたいで少し熱があるんだな。
頭、ボーッとしててさ、明け方お前の夢見たんだよ。
そう、お前と出会った時の夢さ。
13年前のあの日、オレは一度お前を見捨てたんだよ。
怖いよな。人間なんて勝手なもんさ。
でも、お前は見ない振りして数歩行き過ぎた僕の背中に、
ありったけの声で叫んだね。
「僕を見捨てないで!」
オレは迷ったさ。迷いながら振り返ったら、
ボロ雑巾みたいなお前と目が合ったね。
お前は、悲しそうな顔でオレを責めるように見つめていたね。
目…そう、すべては目からなんだよ。
あの時、オレが引き返さなかったら、今のお前とオレはなかったんだよ。
オレね、実は猫って嫌いだったんだよな。
でもあの日、お前はそんなオレを、【猫いのち】に変えてしまったんだよな。
あの日って、だんだん弱って行くお前を、よう子先生に診せた日さ。
今思えば、お前とオレって衝撃的な出会いだったな?
あんな出会いなんて、ワクワクでもなかなか無いよ(笑)
さあ、ギュッしてあげるから僕の膝の上においで。
この日記は、オレからお前へのラブレターさ。
二人で13年前のあの日にもう一度、飛んで行こう。
★☆★
真っ白なシーツの上に僕の子猫が乗せられている。
右耳は千切れかけ、左目は目ヤニで潰れ、もう開けることさえかなわない。
小さな鼻の穴からは黄色い膿が吹き出していた。
獣医は30過ぎの大柄な女で、子猫を見つめたまま、顎に手を当てて考え込んだ。
「もう少し早く連れて来れなかったの?」
「4~5日は、市販薬で様子見ていたんですが‥」
「あなたね…普通だったら致命傷よ。生き延びているのは、この子の執念ね」
僕は子猫を見つめた。
もう、僕を見つめる右の目も虚ろだ。
隣のケージには口輪をはめられた柴犬がいて、子猫を睨み戦慄の唸り声を上げている。
子猫は恐怖のあまり僕が差し出した右手にしがみつき、
つぶれていない右目だけを一杯に開けて僕を見つめた。
ニャ~と言う口まねだけ‥もう声は出ない。
『この子、お名前は?』
突然女医に聞かれて、僕は戸惑った。
『えっ、まだ何も‥』
女医は一瞬、僕を厳しい目で睨みつけた。
『あなた、本気なの?』
『え、10万位用意はあります』
『お金の話はしてないわ。この子の名前は【つくね】‥私が決める。いいわね!』
つくね…
つくねと言う名は、
彼の人生最大の命の恩人、Aクリニックのヨウ子先生がつけてくれたのだ。
ヨウコ先生は、つくねの後頭部にできた膿溜まりを、注意深く観察した。
裂けた耳の付け根から首筋にかけて、卵大に膨れ上がっている。
「多分麻酔には体が耐えられないわ。この子にも私にも、かなり厳しい手術になりそうね」
つくねは、僕のワイシャツの袖に爪を立てている。
まっ白な小さな手を握りしめると、つくねは安心したように、ふっと目を閉じた。
なぜだか急に恥ずかしくなった。
『あなたはね、この子が地上に生まれて初めて心底慕った人なのよ…
あなたがいなければ、この子の生への執念も消えてしまうわ。付き添ってあげられる?』
『はい』
『もう一度聞くわ。あなた‥気まぐれじゃないわよね?」
ヨウコ先生に見据えられ、僕は力強くうなずくしかなかった。
壮絶な手術が、今まさに始まろうとしていた。
13年前の今日の話だ。
-続-
スーパーの刺身盛り合わせで、
今日は、ささやかな【つくね】の誕生会です。
これは、7年前に書いた日記を焼き直ししました。
コメント
2017/04/15 8:50
70. おはよう!
遅れてコメント堪忍して(>_<)
写真の猫に命ある限り
感動しました(^^)d
次のは
また後で読むね。
返コメ
2017/04/15 1:39
69. >>68 ツブネコ
さん
ありがとうございます(*^^*)
帰ってきたらちゅーるご褒美です。(日記書きましたので参照して下さい。)
返コメ
2017/04/15 1:28
68. >>67 みるくさん
ツンデレにゃん子に、メロメロに頼られたら、
こちらもメロメロになっちまいます。
みるくさんちの猫も、良く頑張ったね!えらい!
返コメ
2017/04/15 1:10
67. >>66 ツブネコ
さん
かなり感動の話ですね!!
楽しみにしてます。
あたしは、ツンデレなのがまた良くてメロメロですねw
返コメ
2017/04/15 1:06
66. >>64 みるくさん
コメありがとうございます。
猫ってヤツは、普段はやんちゃでツンデレなくせに、危険な目に会うと、
まったく種族の違う僕ら人間にも、命がけでメロメロにすがってきます。
とても、ほっとけません。もう家族と同じです。
そんなに純粋に頼られることなんて、対人関係じゃ殆どありませんから。
続きは、壮絶な手術シーンも有りますが、
それを乗り越えて、猫と人間達の強い絆が出来る話になります。
返コメ
2017/04/15 0:50
65. >>63 ひとみさん
こんばんは。
続きは明日朝までにまとめてアップしますね。
この日記の原版は、7年前に書いた、僕のピュア日記デビュー作みたいなもんなんです。
返コメ
2017/04/15 0:30
64. 良い話ありがとうございます。
うちの子も保護猫です。
今、1匹避妊手術で入院してまして、よほど不安だったらしく面会にいくまでごはん食べてくれなかったみたいです。
面会して、もうすぐおうち帰れるから頑張ろうね!!って言ったのがわかってもらえたらしく今日は、ごはん食べたよ!!と獣医さんに聞いて安心しました。
かけがえのない家族ですよね。
返コメ
2017/04/15 0:13
63. 続 あるんですね
この時点で
涙 涙 涙 デス(ToT)/~~~
心が揺さぶられました
これぞ
日本道徳教育学に!
ツクネちゃん
お誕生日おめでとう♪
返コメ
2017/04/14 21:10
62. >>61 ツブネコ
さん
そう~それがあるから。
先に逝ってしまっては愛猫たちに申し訳ないし心残りになる。
返コメ
2017/04/14 21:02
61. >>59 赤毛のおこま♪ (⌒~⌒)春うららの季節です。さん
![[バッド(下向き矢印)]](https://img.550909.com/emoji/ic_bad.gif)
こんばんは。
13匹も育てたんだから、もういいでしょう。
若い猫が20年生きたら、こちらが先に星になっちまうよ
返コメ